どうも不動産職人です。
30年間家賃保証するから安心ですよというセールストークで地主を安心させ、運営が上手くいかなくなったら家賃を減額、サブリースの解約とトラブルの多かったサブリース。
サブリースを利用したアパート建築スキームに待ったを掛けるべく、新法案が提出されました。
その名も賃貸物件管理業者・サブリース業者を規制する新法案。
皆さんもご存知かと思いますが、上場会社でもありますレオパレスや大東建託、東建コーポレーションなとがこのスキームで長い間地主さんたちを騙し、暴利を貪ってきました。
このスキームの問題がピークに達したのが、2018年のかぼちゃの馬車事件。
サブリースは何が問題なのか
昨今の不動産業界において、サブリースはネガティブな用語になってきています。
しかし、本来サブリースは上手く使えば費用に有効な手段です。
なぜ、サブリースは問題なのでしょうか。
サブリースの仕組み
サブリースを簡単に言うと、物件をオーナーからサブリース業者が借り上げて、サブリース業者はその物件を転貸し、その収益で保証家賃を払う仕組みです。
オーナーは、相場家賃の8割~9割程度で借り上げてもらえ、賃貸経営もサブリース会社がやってくれますので、ほぼ何もする必要はありません。
仕事と言えば家賃の確認をするくらいです(笑)
そのため、仕事の忙しいサラリーマンや賃貸経営はしたくない方など、収益は少し減りますが安定した収入を得ることが出来るので、サブリースを活用するメリットがありますしかし、サブリースにもデメリットがあります。
サブリースでは、オーナーとサブリース業者はマスターリースを結びますので、サブリース業者は借地借家法で守られる普通の賃貸人と同じ立場になります。
これがサブリース=悪の元凶とも言えます。
サブリース業者は、借地借家法で守られるため、
・家賃の減額なども受けざるを得ない
というように、オーナーが不利な状況になってしまいます。
契約書にはこういった内容は書かれていますが、オーナーさんも営業マンの話を鵜呑みにし、サーっと説明されると詳しく読むことも無く、突然のサブリース会社からの申し出にアタフタすることになります。
サブリース会社は、建築時に大きく儲けている
こういったサブリース会社は、アパートメーカーの子会社である場合が多く、会社としては、建築時に利益を得る、サブリースで利益を得るという二段構えになっています。
オーナーは地主であることが多く、元々土地を持っているので、サブリース会社はその土地の上に建築をして収益が出るシミュレーションを行います。
ここが結構ミソで、本来アパートを建てる場合は土地と建物の合計の価格で利回りを出します。
土地 3000万 建物 3000万 合計 6000万 の物件の場合、
相場の利回りが7%とすると年間家賃は420万。
※ここでは経費等は考えないことにします。
しかし、土地を持っているオーナーの場合、本来は、建物 3000万ですが、これを6000万として、相場と同じだから大丈夫ですよという訳です。
実際には、倍というようなことはないと思いますが、このように地主さんは高い買い物をさせられて、アパートメーカーはここでまず大きな利益を出します。
かぼちゃの馬車は、土地、建物の価値6000万くらいの物件を1憶以上で買わせていたという話です。
次に、建築してもらったアパートをサブリースして儲けます。
しかし、アパートメーカーとしては建築で儲けを出しているので、サブリースではトントン、多少損をしても良いので、保証家賃を高く見積もったりします。
そして、実際に運営して大きな損が出るようだったら、家賃の減額交渉、最悪の場合はサブリース契約を解約するわけです。
かぼちゃの馬車のケースでは、家賃が払えなくなって倒産したわけですが、サブリース会社もきちんと調べておかないと、サブリース会社が倒産してしまって、収益が入ってこないということになってしまいます。
サブリース会社がこういったサブリーススキームを使い、強引な営業を行って暴利を貪ってきたことが、ここにきて大きな問題となった訳です。
賃貸物件管理業者・サブリース業者を規制する新法案
こういったサブリース問題を背景として、今後の管理業務について、サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化と賃貸住宅管理業の登録制度の創設を目的とし、賃貸物件管理業者・サブリース業者を規制する新法案を提出が決まりました。
これを機に悪質なサブリース業者が減ることが期待されています。
賃貸物件管理業者・サブリース業者を規制する新法案提出の経緯
今回、新法案の提出になったのは、こういったサブリーススキームによって多くのオーナーが損をさせられたことと、オーナーの高齢化で今後管理委託するケースが増えるといった経緯があります。
賃貸物件管理業者・サブリース業者を規制する新法案提出の内容
今回の新法案については、大きく二つのポイントがあります。
・サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化に係る措置
・賃貸住宅管理業の登録制度の創設
サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化
法律案の概要
(1)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置
〇 全てのサブリース業者に対し、
・ 勧誘時における、故意に事実を告げず、又は不実を告げる等の不当な行為の禁止
・ サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明 等
を義務づけ
〇 サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)についても、契約の適正化のための規制の対象とする
サブリース問題では、強引な勧誘と契約締結における説明不足が問題となりました。
強引な勧誘としては、大東建託の内幕などでも書かれていましたが、地主がいそうなエリアに営業マンを送り込み、ローラー作戦といってそのエリアの地主を片っ端から当たります。
少しでも脈があったら、上司を連れて毎日のように訪問し、サブリースするので将来も安心だ、夢のオーナーになりませんかなど、様々な方法で営業攻勢を行います。
良い事ばかり並べて丸め込んだり、地主が余りのしつこさに、半ばあきらめたり、判断能力が欠如した状態で契約をさせていたようです。
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更に、保証家賃を30年間すると約束をしておきながら、契約書には小さく2年ごとに家賃の見直しをすると書いていたり、契約解除できない、契約するには多額の違約金が必要であることを伝えないまま契約をするといったケースが相次ぎ、契約後に多くのトラブルが発生しました。
これにより、多くの地主が不利益を被ることとなりました。
今回の新法案では、不当な勧誘の禁止、契約前の重要事項説明が義務付けられます。
あとは、どのような罰則を設けるかが気になるところです。
賃貸住宅管理業の登録制度の創設
法律案の概要
(2)賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
〇 賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録を義務づけ
〇 登録を受けた賃貸住宅管理業者について、
・ 業務管理者の選任
・ 管理受託契約締結前の重要事項の説明
・ 財産の分別管理
・ 委託者への定期報告 等
を義務づけ
これまでなかったのがおかしいくらいでしたが、賃貸管理業に関わる登録制度の創設がようやく義務付けられます。
管理受託契約締結前の重要事項の説明、委託者への定期報告が義務づけられ、いよいよ賃貸不動産経営管理士が国家資格になるかも(笑)。
新法案成立をきっかけにクリーンな契約が行われることを望む
私としては、このサブリーススキームは、他の金や和牛といったボンズスキームと同じで、これは詐欺だと思っています。
それでも取り締まられずきたのが不思議でした。
次から次に不動産を使った不正が行われ、不動産業界はブラックだと言われ続けていますが、私としては不動産業界をクリーンな業界にしたいと思ってます。
今回の新法案が設立し、これをきっかけに不動産業界が変わればなと思っています。
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