医師など高所得者向けの不動産投資節税スキームは損しているだけ?

不動産投資

どうも不動産職人です。

今も昔も不動産投資のセールストークのひとつに「節税対策」があります。

確かに、不動産投資を行うために物件を買えば、経費などが掛かりますので一時的な節税効果期待できます。

しかし、それは購入して1、2年目だけでそれ以降はほとんど節税効果がありません。

又、賃貸経営で毎年の収支がマイナスになり、所得税と合算できるので収入を下げることが出来るので毎年少しですが還付金が返ってきます。

果たしてこれは本当に得をしているのでしょうか。

今回は、不動産投資における節税効果が本当にトクなのかについてお話します。

不動産投資の節税効果とは

医師や弁護士の高所得者は、所得税も高く、年収3000万円だと税率40%となり、手取りで1800万円ていどになります。

そりゃ、節税と言われると気にならない人はいないでしょう。

そこで、不動産投資を使って節税をしましょうという話になるわけですが、不動産投資の節税効果は本当にトクしているのでしょうか。

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3000万円の年収の職業の人たち

では、そんな節税効果を期待する人たち、年収3000万円ある職業ってどんな職業なんでしょうか。

・医療法人施設病院長:平均3,097万円
・投資銀行本部顧問コンサル:平均3,100万円
・外資系株式トレーダー:平均3,500万円~
・上場株式会社取締役:月額330万円で、平均3,800万円
・金融工学博士:平均3,000万円前後
・外資系金融機関フロントオフィス:約3,000万円前後

これはあくまでサンプルなので、年代や性別や毎年の売上などによって大きく変わりますし、他にも個人企業の社長や開業医、弁護士などもここに入ってくるのかなと思います。

所得税の速算票

確かに高所得者の方の税率は高い!節税したい気持ちもよくわかります。
私には縁遠い話です(涙)

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

節税対策を謳っている不動産投資とは

これまで節税効果を謳い文句にセールスしてきた不動産投資にはどういったものがあったかということ、

・地方築古一棟マンション(スルガスキーム)
新築ワンルームマンション
・新築アパート建築(レオ〇レス、D建託など)

など、結構社会的に問題になっている不動産投資ばかり。

これを見るだけでも、節税対策を謳っている不動産投資って大丈夫なのって思わないですか(笑)

それぞれの不動産投資については、下記の記事をご参照ください。

地方築古一棟マンション
不動産投資の失敗例②地方の高利回り一棟RCマンション投資

新築ワンルーム
【不動産投資を始める前に仕組みを理解しよう】新築ワンルーム投資とは?節税目的で行う不動産投資で資産を増やすのは難しい!

新築アパート建築
不動産投資の失敗例①相続対策で行う不動産投資

地方築古一棟マンションと新築ワンルームは所得税対策、新築アパートは相続対策と節税目的が違います。

ただ、このスキームたちには、不動産投資をするのに考えないといけない根本的な考え方が抜けているんですね。

不動産投資の本来の目的

一般の方が、不動産投資をやる目的ってやはり不動産を購入して家賃をもらってお金を稼ぐことだと思います。

不動産投資は本来儲けるために行うもので、損をして所得を減らして納税したお金を還付してもらうというものではありません。

不動産投資を節税目的で行うというのはそもそも間違っているというわけです。

節税目的を謳った不動産投資の仕組み

では、今回は所得税の節税目的を謳った不動産投資に焦点を当ててみたいと思います。

例えば、医師限定の不動産投資を勧める不動産業者なんかもありますが、そこで勧められるのは大体新築ワンルーム、ファミリーマンションです。

その会社が運営しているサイトを見ると、医師が困っていることには、収入が増えても税金で持っていかれる、忙しくて時間がないなどがあり、それを解決するのが不動産投資です!というのが書かれています。

確かに、不動産を購入すれば経費が掛かってマイナスになるので所得税の還付があり、不動産投資の収入が入れば仕事を減らせます。

しかし、実際には、こういった業者に買わされる物件では、所得税の節税は一時的なもので、不動産投資はマイナス収入になっているケースがほとんどです。

所得税の節税は、1,2年しかないので毎年のように物件を買わされ、マイナス収支の不動産が増えていくのです。

例えばその会社ではこんな例を載せています。

勤務医の年収1500万円の場合

通常
所得 1500万
(給与所得控除等で課税所得1104万)
所得税 215万
住民税 110万
税額 325万

不動産投資をした場合
所得 1500万
(給与所得控除等と不動産所得損失-100万で課税所得1004万)
所得税 181万
住民税 100万
税額 281万

税額325万-281万=44万 節税効果は44万!

ここで普通に事業している人だったら千鳥の相席食堂ではありませんが、

チョット待てよ

とならないとおかしいんです。

だって、所得で100万マイナス出して節税効果44万やったらしないほうがマシでしょ。

医師の場合だと賃貸経営のマイナスに耐えられてしまうので、最終的には5~10戸買わされてしまい、確かに還付金は返ってきますが、所得自体が大幅に減っていることにこれくらいの規模になってようやく気付きます。

10戸も買わされたら-1000万ですよ。

1500万所得あっても実際の所得は500万しかありません。

還付で結構返ってくるかもしれませんが、何してるかわかりません。

まあ、私のところにもこのくらいになって相談に来られる人多いですが、その時点では物件価格が残債を大きく下回っており、数千万規模の手出しをしないと物件が売れない状況になります。

そうして今も不動産会社を儲けさせるためだけに仕事をしていることになっているのです。

不動産投資は儲けるためにやるもの

事例を見てもらうとよくわかりますが、節税対策を謳った不動産投資の仕組みは、損をして所得を得らすという方法なんです。

はっきり言えば、損をしてまで不動産投資を行う必要はなく、それならしない方がマシということです。

節税目的で不動産投資をするならもう少し違う方法を検討してください。

不動産投資で節税対策するなら法人を使うなど別の方法で

一番メジャーな方法で言えば法人の設立ですね。

法人設立や維持には色々と費用も掛かりますが、法人税の方がマックス税率も低く、経費なども個人に比べると色々と落とせます。

私のクライアントにも医師が多いですが、不動産投資をしている人は個人でやると所得が増えて税金を払うだけなので、法人を作ってそっちで儲けるようにしています。

当然儲かればそっちでも税金は取られますが、収入もきちんと得ることが出来ます。

儲けなければ不動産投資をする意味はない

相続税対策で現金で持っておくよりは、不動産に変えた方が評価が下がるので不動産を買うというのは意味のある相続税対策です。

しかし、所得税還付を目的としたマイナスの不動産投資は、本来やらないで良い不動産投資となるわけです。

収入が増えると節税を考えがちですが、やはり日本の法律では個人での節税はかなり難しいので、それよりも法人を作るなどして別会計で儲けて収入を得て税金を納めることで手取り収入を増やすというのが正論なんですね。

ということで、これから節税目的で不動産投資をしようと思っている方は一度立ち止まって考えてみてください。

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