不動産ブームで暗躍した「かぼちゃ、狭小アパート、スルガスキーム、レオパレス、フラット35事件」。どうすればブームに乗じて混じる偽物を見分けられるか!

コラム


どうも不動産職人です。

日銀の低金利、マイナス金利政策により、2016年頃から行き場を失った金融機関のお金がこぞって向かったのが不動産でした。

そこから2018年頭のかぼちゃの馬車事件までは、不動産投資向け融資がバブル期を越える水準で推移。特に、地方銀行は大口顧客も少なく、担保を取れる不動産は魅力的だったのでしょう。ガンガン融資してました。

それでも、金融庁の試算によれば、地銀の半分にあたる54行がすでに本業赤字で、東北や九州などの23県は1行独占でも不採算になるといいます。

一部の金融機関では、やはり不動産しかないということでスルガ問題でお休みしていた融資を再開しているという話も入ってきてます。

まあ、これで一旦不動産投資ブームは沈静化すると思いますが、未だに普通に不動産に投資をしている人もいますし、きちんと事業計画を立ててやれば融資してくれる銀行もあります。

ただ、不動産に限らず、投資などブームが起こるとそれを利用して、賢い(ずる賢い?】人たちが、自分たちの利益が出るようなスキームを作り、素人を罠にはめようとします。

そのスキームで作られた商品は、パッと見はいいですが、悪い部分は巧妙に隠されており、気が付いた時にはどうしようもないという結果に。

ブームに乗じて混じる偽物を見分けるには、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。

不動産投資で騙されないために失敗事例に学ぶ

不動産投資は騙されるので怖いと思っている人が多いですが、騙された多くの人は不動産投資自体初めてだったり、やっていても不動産会社に丸投げだったりと自分できちんと勉強して不動産投資をしてこなかった人です。

そうならないために、近年起こった不動産投資の失敗事例を見ていきましょう。

かぼちゃ事件を検証

2018年1月にサブリース賃料が止まって大きな社会問題として取り扱われたかぼちゃ事件。

皆さんが騙されてしまったポイントは、スマートデイズが建築したシェアハウスを30年間サブリースということで安心を謳い、万が一部屋が埋まらない場合は職業あっせん事業で補填しますという2段構えにありました。

当時金融機関はシェアハウスには懐疑的で基本融資をしておりませんでしたが、スマートデイズはスルガ銀行と組んで、「銀行が融資するから安心」と更に追い打ちをかけ、多くの人は少ない自己資金で買えるということで購入していきました。

私も当時何件かこの物件どうですかというお話を受けました。

すでにサブリースでは家賃の減額や打ち切りが問題になっていたことも知っていましたし、持ってきた物件を見て、「この物件本当に借りてあると思います?」というお話をし、やめておいた方がいいですよと注意を促しておりました。

中には、注意したにも関わらず、2件買って「サブリース賃料が減額になって回らない。どうすればいいでしょうか」と相談に来られる方も。

その時点で考えられるのは、高いスルガ銀行の金利を借り換える、売却するという手段しかありませんでしたが、スマートデイズのシェアハウスに融資するという金融機関がなく、どうしようもありませんでした。

大手にお勤めでしたが、最終的には自己破産したと聞いています。

 

我々不動産のプロからすると、見た瞬間にこれはヤバそうだなと思いましたが、自己資金200万くらいでフルローンを組んで、サブリースで手出しもないということを聞くと美味しい話だと思ってしまったのでしょう。

 

かぼちゃの馬車については、そもそもこの物件ではいくら首都圏と言えども客付け難しいやろうということが分かれば、避けることはできました。

普通に不動産を勉強していた人は、まず購入していません。

 

かぼちゃの馬車が偽物だと見分けるポイントは、

不動産投資の基本である賃貸需要があるかどうかを検証する力。

◎物件自体がどうなのか。

・共有スペースが重要なシェアハウスに共有スペースが皆無

・あの居住スペースであの賃料で賃貸需要があるのか

◎エリアはどうか

・最初は良い場所に建っていたが、最後の方は?なエリアも多かった

 

ブームに乗じて混じる偽物を見分けるのは、基礎的な知識が少しあれば良いだけなんです。

営業マンは耳障りの良いことばかりいいますからね。

それを鵜呑みにせず、自分で考えて検証する力をつけないといけません。

よくある詐欺の名簿は何度も使えるということで、同じ人が違う詐欺で引っかかります。そういった方は気の毒ですが、なぜ一回目の失敗で勉強しようと思わなかったのかと私は思います。

そして、このかぼちゃスキームは、レオパレスのビジネスモデルが基礎となっているのにも注目が必要です。

レオパレスでは、建築基準法違反が大きな問題となっていますが、自社で建てて、サブリース一括借り上げするスキームは物が違うだけで同じです。

そしてスマートデイズの社長は、レオパレス、今話題のMDIと生粋のレオパ血統。

レオパレスのビジネスモデルを上手く加工して偽物を作りました。

かぼちゃが売り出された時点では、すでにレオパレスのサブリース賃料問題は取り上げられてましたし、この事例を知っていれば疑ったはずです。

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狭小アパート、スルガスキーム、フラット35も基本は同じ

競争アパート、スルガスキーム、フラット35事件など色々と不動産投資ブームに乗じて不動産会社やそれに準ずる人達が自分たちが儲けるためのスキームを作りだしていきました。

そのスキームに乗っかって物件を買ってしまった人はすでに退場した人もいれば、未だに苦しんでいる人も多くいます。

狭小アパート

狭小アパートは、かぼちゃほどではありませんが、場所が多少悪くても高利回りなので安心ですよという売り文句。(首都圏の好立地なら何とかなる場合も多いです)
投資用ワンルームアパートって利回りを上げるのは、部屋数を増やせば可能なんです。
例えば100㎡の土地に延床面積160㎡の建物が建てられるとします。
普通であれば、ワンルーム20㎡くらいは欲しいと考えると8戸。しかし、狭小アパートは13㎡くらいにして12戸入れます。
本来であれば、同じ家賃になってもおかしくないのですが、家賃というは不思議なもので、13㎡が20㎡になったからといって賃料は1.5倍にはなりません。
20㎡が6万だと13㎡は5.2万くらいの感じになります。これが利回りが上がる仕組みなんですね。
ただ、ここで普通なら利回りはいいけど、駅から15分でこの広さは将来的にどうなの?と普通思うのですが、何人か購入された人の話を聞くと「え、利回りいいねんから問題ないでしょう」と言われます。
確かに、その利回り維持出来ればいいですが、入居者が入ってこその利回りですから、入居者いないと収入は無く、実質の利回りは…ですよね。

スルガスキーム

スルガスキームも基本同じで、狭小が地方RCマンションに物が変わり、嘘のレントロール(実際は入居者がいないがサブリースしてたり、カーテン行きますで入っている感を出すなどして銀行を騙したり…)で作られた高利回り商品をRCだと評価も出やすいのでフルローンで購入。
数百万で数億円の物件が持てた!と喜んでいたら、蓋を開けると入居者がおらず、スルガで高い金利に加え、書き上げでフルローンと元々キャッシュフローが少ないのに、偽のレントロールとの乖離が激しく、マイナスキャッシュフローになりお手上げに。
ここでも、本当にそのエリアでこの家賃大丈夫?と疑問を持てば避けれたと言えます。

フラット35事件

かぼちゃ、狭小アパート、スルガスキームは、どちらかというと高所得のサラリーマンや医者などの士業など収入の多い人がターゲットでした。
医者や高所得のサラリーマンと言えば、頭いいはずなのに騙されるんかと思いますが、結構任せきりにしてしまう、耳障りの良い営業トークに引っかかってしまう人が多いんですね。
営業トークでは、節税や保険代わりなどその辺りの人にヒットするキーワードを散りばめてくるんで、逆にチョット知識がある人の方が話を聞いてしまうんでしょうね。
しかし、フラット35事件は、上記のスキームとはチョットことなり、無知な収入の少ない人を騙したスキームです。
本来不動産投資が出来ない年収300万くらいの人に、フラット35を使えば不動産投資できるということで、不動産会社いうなら大丈夫なんだろうと信じてしまうのも仕方ないかもしれません。(住宅ローンで不動産投資はダメだということはもちろん知っておかないといけませんが)
なぜ自分には不動産投資で金融機関がお金を貸してくれないのかということを理解しておれば、リスク高いなと気付くはずなんですけどね。
やはり、万が一長期空室になったら自分の収入で耐えられるかと考えると、絶対無理となるはずなんですが、将来のためにと背に腹は代えられないと思ったでしょう。
やはり、ルールを守らない投資はその時点で自分も加害者になるということを理解しておかないといけません。

偽物を見分けるためにはやはり勉強しかない

これだけ「新築ワンルームは儲からない」「狭小アパートは客付け大丈夫?」などネットに情報が出回っているのですが、未だに購入する人が後を絶ちません。
狭小アパートはさすがに融資が出なくなったようですが、新築ワンルームはマダマダ健在です。
O銀行が45年ローンするなど言うので、更に購入者が増えそうで私としては心配しております。
今月に入ってから新築ワンルーム4件購入してどうにもならないという相談を受けましたが、多分売却するのに1件500万くらい手出ししないといけませんので、自己破産になってしまうのかなと。
1件くらいなら生命保険代わりで持ってもいいですけど、3件持つと将来大損することは間違いないので、賢明な読者は絶対に新築ワンルームは止めておいてください。
1万円の出費で、節税でと1年後に売ろうとしたら、価格はマイナス500万ですよ。
それなら貯金しておいた方がナンボかましです。
ということで、
偽物を見分ける方法は、不動産のほんの基本の部分を勉強するだけです。本当にそれだけで回避できます。賢いと思っている人ほどこれを疎かにしてしまいます。

それと後は慌てて買わないこと。高い買い物ですから一度冷静になってから判断しましょう。

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