どうも不動産職人です。
先日ツイッター界隈で新築ワンルームを45年ローンで購入した際の月々の収支シミュレーションが3円だったと話題になりました。
45年ローンは住宅ローンでは結構前からありましたが、収益向けには35年がマックスでした。
そこでオリックス銀行が、収益物件に対してワンルームマンション(単身者の賃貸用で専有面積18~40平方メートル未満)の購入や借り換えが対象として、2018年5月から提携先の不動産業者向けに提供し始めたのがこの45年ローンということです。(まあ主にプレ〇ンスがメインだと思いますが)
45年ローンにすることで、毎月の返済が減るので収入の少ない若者でも物件が買えるようにするというのが目的なのですが、実際にこのローンでワンルームマンションを購入して資産を増やすことが出来るのでしょうか。
老後2000万円問題で投資を始めようと思っている人も多いと思うので、この物件を買うとどうなるか、シミュレーションしてみたので参考にしてみてください。
新築ワンルーム投資とは
今回オリックス銀行で45年ローンが組めるのは、基本的に新築、築浅物件です。
オリックス銀行の場合は基本的に区分マンションは55年引く築年数で融資期間を計算しますので、これでいくと築10年までは45年ローンが組めることになります。
新築ワンルーム投資とはどういった投資なのでしょうか。
投資用に作られた新築ワンルームを購入して始める不動産投資
新築ワンルーム投資では、大手デベロッパーが不動産投資向けに建設した区分ワンルームを購入して不動産投資を行います。新築なので賃貸の客付けもしやすく、物件によってはサブリース契約を結ぶことが出来、安定した収益が見込めます。
しかし、新築が故に購入価格はプレミアム価格となっているので割高。家賃も同様で最初の家賃をピークに年々下がっていきます。(稀に都心部の超好立地エリアによっては上昇するケースもありますが稀です)
そう考えるとチョット厳しい感じです。
営業トークで言われるメリットは本当?
新築ワンルームを販売する販売会社の営業マン。
当然物件を売りたいわけなので、営業トークで迫ってきます。
・節税対策になる
・保険の代わりになる
・毎月1万円支払うだけで不動産オーナーに
・将来年金代わりに
・仲介手数料がいらない
節税対策になる
確かに不動産購入時には登記費用、税金など色々な費用が掛かるのでその年、次の年くらいは大きな節税効果があります。更に年間のキャッシュフローがマイナスの場合は、サラリーマンだと給与とマイナスを合算できるので、減額が多いと還付されることもあります。
しかし、それはすなわち不動産投資では儲かっていないということの裏返しなわけです。投資として行う限りは税金払ってもプラスである方が健全です。
保険代わりになる
新築ワンルームを購入する際には、ほとんどの場合はローンを組みます。その際に団体信用生命保険に加入することになります。この団体信用生命保険の詳細は下記をご確認いただければと思いますが、簡単いうと不慮の事故等でご自身が亡くなった場合、保険でローンを返済してくれるということになります。なので、これに関しては正しいです。
ただ、保険代わりになるとしても、年々不動産の価値は下がっていき、返済が進めば進むほど実は支払われる保険金は減っていくという感じになります。
毎月1万円支払うだけで不動産オーナーに
新築ワンルームを金利2%、フルローン35年で購入すると月約1万円のマイナスになります。
これは測ったようでその辺になるように物件価格を想定しているんでしょう。
しかし、これはあくまで今の家賃が永遠に続く場合は1万円という話で、家賃が下がれば1万円が2万円、3万円となります。
エリアによって差はありますが、年1%家賃が下落すると考えると10年で10%。10年を超えると家賃の下げ幅も大きくなり、15年~20年で落ち着いてきますので20~25%下落します。
月々1万円でもてるはずが…ということで3件ほど買われた人は、大体5年もすると毎月の手出しが5万を超えてくるのでもちこたえられないケースが多く、相談に来られます。
年金代わりになる
例えば45年ローンの場合、30歳で購入しても支払いの完済は75歳。その時に残るのは築45年のワンルーム。家賃は下がり、管理費・修繕積立金は上がり、収益も家賃5万諸経費2万掛かるとして年間キャッシュフローは36万くらい。室内の設備も交換が必要になるでしょうし、そんなワンルームにお金をかけるくらいなら、毎月1万円45年間貯めた方がよいですね。
540万を元手にその時物件を購入した方が良いと私は思います。
仲介手数料がいらない
新築ワンルームの場合は、売主から直接購入することになるので仲介手数料は不要です。しかし、実際にはそれ以上にプレミアム価格で2割~3割デベロッパーの利益が乗っています。なので、仲介手数料の差以上に実はお金を払っていることになります。
そのため、実際に購入してすぐに物件を売ろうとすると2割程度下がります。
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新築ワンルームを45年ローンで購入したら
新築ワンルームは、良い悪いはいいませんが、結構投資としては厳しい投資と言われています。
なぜなら、購入時にはプレミアム価格で大体デベロッパーの利益が2割~3割乗ってます。例えば1600万で購入した物件はその翌年売却しようと思ったら1300万くらいでしか売れません。
なぜそうなるかは、収益物件は利回りを元に取引されるので、収益還元法で物件価格を出すとそのくらいの価格になってしまうのです。
【不動産投資用語】直接還元法とは?収益物件の物件価格は「直接還元法」を活用しよう!
更に、家賃も年々下がり、20年後には20%~25%程度下がります。そうなると月々1万円の支払いは当然増えていくことになります。
実際にどのくらい差が出るかシミュレーションしてみます。
まずは現状をシミュレーションをしてみましょう
今回の物件は、物件価格1800万の新築20㎡のワンルーム。賃料は6.5万です。(大阪の場合は基本バス・トイレ別です)
どんな感じになるか少しシミュレーションしてみます。(空室率まで入れるとどうしようもない結果となるので今回はそこまでやってません)
【シミュレーションの条件】
金利2.00%
期間45年
借入1800万
賃料6.5万
管理費・修繕積立金1.0万/月
賃貸管理費月3000円
固定資産税6万
【シミュレーション内容】
年間収入 78万運営費 22万
ネット収入 56万
返済 60万
収支 -4万
ネット収入が56万÷1800万=3.11%
(正確な実質利回りを出すなら購入時の登記費用等諸経費も含んだ方がより良い)
20年後のシミュレーション
では、20年後に家賃が25%下がったとするとどうなるでしょうか。
年間家賃は58.5万まで下がります。
更に管理費・修繕積立金は1.5万まで上がっている、固定資産税は少し下がって5万と仮定。
年間収入 58.5万
運営費 26.5万
ネット収入 32万
返済 60万
収支 -28万
実質の利回りは32万÷1800万=1.78%
物件の価格は現在大阪だと7%くらい必要だと考えると58.5万÷7%=835万
そして残債は約1214万で400万弱の手出しをしないと売れない状況です。
更に収支は、-28万と月2万以上のマイナスへ。
これが後25年続くわけです。
売るに売れず多分20年くらいで持ちこたえられなくなると思います。
仮に45年払い続けた場合の利払いは、9,312,933円。1800万の物件を手に入れるのに約2731万の支払いを行うことになります。
それで支払いが終わった45年後の物件価格は800万くらいになるでしょう。
2731万払った対価で800万の物件と毎月2万~3万しか手に入らないワンルームだけが残るだけ。
株の配当でも2~3%程度もらえますし、これなら他の投資にお金を回している方が資産は増えるはず。不動産投資をするにしても、きちんと収益の上がる物件を購入できます。
それでもあなたは45年ローンで新築買いますか?
新築ワンルームは45年で組んでも結果は厳しい。築浅なら使えるかも。
やはり45年で融資を組んでも新築ワンルームは投資としては厳しいと言えます。
ただ、ある程度家賃が落ち着いた築10年くらいの物件だとキャッシュフローを大きく残したいというのならば一時的に45年ローンを組むのもありかもしれません。
ただ、それでも実際は45年持つ前提では買わないと思いますので、どこかで売却となると思います。
売却時に問題になってくるのが残債。
購入の際にチェックしたいのは、家賃の下落率がどの程度になるかと現在の管理費・修繕積立金。特に修繕積立金が1000円とか2000円と安いようだと最低でも5000円には上がると予想して収支を見る必要があります。
それでも大丈夫ということなら買っても良いと思いますが、築浅ワンルームはキャッシュフローも出にくいので物件選びは慎重に行いましょう。
でも、私は45年ローンを収益物件で使うのはオススメしませんね。
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