どうも不動産職人です。
先日日経新聞で、住友生命がユニーク保険に参入という記事がありツイートしたところ、思いの他反応があったので今回はきちんと調べてみようと思います。
不動産投資を行う上で、オーナーが活用している保険には、すまいの保険といった火災保険プラス施設賠償保険、地震保険など天災や火災、水漏れに対応する保険があります。
入居者も同じように家主さんへの損害賠償や自宅、近隣の失火や家財の水漏れに対応する住まいる共済などの保険に加入していると思います。
今回のユニーク保険は賃貸トラブルということですが、今までの一般的な保険とどこが違うのでしょうか。
賃貸経営にはどういったトラブルがあるの?
不動産投資を行うということは、物件を所有し、それを入居者に貸す賃貸経営を行うことです。
賃貸経営を行っていくと色々な壁=トラブルが起こります。
では、賃貸経営にはどういったトラブルがあるのでしょうか。
お金系のトラブル
賃貸経営で一番困るのが家賃が入らないケース。
家賃を入れてくれても遅れたり、数か月まとめて支払う人などがいると管理も大変です。
私は、今管理会社を使わずにやっていますが、家賃保証会社が期日にお金を振り込んでくれます。いわゆる集金代行ですね。
家賃保証会社を使っている場合は、入居者が長期滞納しない限り家賃は入ってきます。
滞納の保証期間は2年から4年くらいありますが、実際には3か月滞納したら家賃保証会社が追い出しに掛かります。追い出しの手続きの間は家賃を払ってくれるので安心です。
現在管理会社を利用したり、きちんと賃貸仲介会社を通せばほとんどのケースで家賃保証会社を活用してくれます。
しかし、古い契約や家賃保証会社に通らない場合など、オーナーの判断で連帯保証を付けて契約しているケースもあります。
こういった場合は滞納があると回収が難しく、賃貸契約が長期間になっていると保証人が死んでいたり、保証してくれないケースも。
設備系トラブル
新築や築浅など設備が新しいとほとんどトラブルはありませんが、物件が古くなってくると給湯器やエアコンが壊れたり、トイレなど給水管の詰まりや水漏れなど色々と設備の故障が増えます。
やはり、設備が故障すると大きな費用が発生するので賃貸経営において大ダメージを受けることに。
特にアパートだと大体同じ時期に設備の故障が相次ぎますので、築10年を超えてくると空室になったタイミングで入れ替えを行うなどするといいんですが、そのタイミングで他の部屋も一緒に交換すると費用を抑えることが出来ます。
最近では、管理会社によっては設備保証の保険なんかもあり、タイミングよく入れば費用を大きく削減できるケースもあります。
ご近所トラブル
賃貸経営で困るトラブルと言えば、やはりご近所トラブル。
学生が騒いでうるさい、足音が響くといった騒音やゴミ部屋から異臭がするなど、アパート内だけでなく、近隣の方々から苦情の連絡が入ります。
原因が明らかな場合は対応できますが、中にはクレームが勘違いのようなケースもあり対応が難しいケースもあります。
私が経験したのは、「隣でブタを飼っていて夜中鳴き声がうるさい」というクレームが入り、入居者に問合せしたところ「豚は飼ってません」という。
「ブタは飼ってないと言ってますので、もう少し様子みてもらえますか」と言ったところ、又10日くらいして「隣でブタを飼っていて夜中鳴き声がうるさい」と連絡が入ったので、もう一度詳しく話を聞いたところ「鼻づまりが酷く、息遣いが粗いのでそれが原因かも」ということでした。
入居者さんにはご近所が心配しているので注意してくださいとお話をしました。
場合によっては、これが原因で他の部屋の人が退去するケースもありますので、対応に苦労します。
自殺、孤独死トラブル
最近多いのは孤独死。入居者に高齢者が多い場合は特に注意が必要。
私の知り合いの人は、25㎡のワンルームを所有していました。高齢者が住んでいたこともあり、利回りも高かったので購入したとのことでした。
しかし、その物件で孤独死してから1か月後に発見され、臭いと体液が酷く、スケルトンにして前面リフォームしたところ400万掛かったとのことです。
その人も孤独死保険には入っていたのですが、それでも100万までしかでなかったので300万手出しする結果となってしまいました。
自殺はもちろん、こういった孤独死も発見が遅れた場合は告知する義務が発生するので、いわゆる事故物件的な扱いになってしまいます。
改装するお金があればいいですが、お金がないようだとそのまま貸すのは本当に難しくなります。
ユニーク保険とは
トラブルには、普通の火災保険や損害保険では対応できないケースも。
そういったトラブルに対応するユニーク保険というものを取り扱っている保険会社もあります。
ユニーク保険にはどんなものがあるのか
ユニーク保険には、通勤で満員電車を使う方向けに「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」、
イベント当日に病気や不慮の事故でいけなくなった場合にチケット代金を保証してくれる「チケットぴあ チケットガード」、アウトドアや登山で遭難した時に使える「レスキュー費用保険」、故障する可能性の方が高い中古車の修理費用を補償してくれる「パーツケア」などがあります。
賃貸向けユニーク保険
では、いよいよ本題です。
今回住友生命はユニーク保険参入するために、ミニ保険を手がけるアイアル少額短期保険(東京・中央)を買収。
少額短期保険は、保険料が安く、身近なトラブルに備えるミニ保険は市場規模が年々拡大し、2018年度には初めて保険料収入が1000億円を超えました。
それを受け、住友生命は愛ある少額短期保険を買収し、市場に参入することとなりました。
アイアル少額短期保険の賃貸向けユニーク保険
では、アイアルではどういった賃貸向けユニーク保険があるのでしょうか。
「無縁社会のお守り」
無縁社会のお守りは、賃貸住宅の大家を対象に自殺や孤独死に備える少額短期保険。
保有戸数4戸以上の方のみが対象となり、加入は全戸になります。
保険料は、1戸300円/月、1戸3600円/年の一時払いがあります。
4戸未満の場合は1戸3600円/年のみ。
詳細は下記をご参照ください。
賃貸住宅の戸室内で死亡事故(孤独死・自殺・犯罪死)が発生し、家主様が次の損失を被った場合に補償します。① お部屋を元通りにする原状回復費用(原状回復費用保険金)
遺品整理費用、清掃・消臭費用、死亡事故によって破損・汚損が生じた箇所の修復費用を1事故最大100万円
補償します。
② 事故後に借り手がなく、空室になった場合の家賃損失(家賃保証保険金)
空室期間や値引き期間の家賃を、最長12ヶ月間、1事故最大200万円補償します。
③ 死亡事故が発生したものの、原状回復費用保険金の支払対象とならない場合の見舞金(事故見舞金)
戸室内でお支払の対象となる死亡事故が発生したものの、破損・汚損等がなく、被保険者の費用負担が生じないなどで原状回復費用保険金の支払事由に該当しない場合に5万円(定額)をお支払いします。保険料
払込方法
①月払(口座振替)、②一時払(口座振替・振込)
※入居戸室数が4戸室未満でのご契約の場合、一時払のみとなります。
保険料の算出
右記の1戸室あたり保険料×入居中の戸室数
※空室は申込時点での戸室数に含みませんが、保険期間中に入居した場合はその時点から補償されます。
保険料の算出 ご契約条件
①保有戸室が4戸室以上の方が対象となります。
②所有している賃貸住宅の全戸室のご加入が必要となります。
※原則、一部の戸室を限定してのご加入はできません。
※物件所在地や物件状態によってお引き受けできない場合がございます。
補償の開始
毎月15日が申込締切日(当日消印有効)となり、翌月1日から補償が開始されます。
「愛ある家財保険」
家具や家電など家財の損傷に備える少額短期保険。
これは入居者さん向けの保険ですが、賃貸仲介会社で入る保険よりも範囲が少し広い感じです。
これは項目がメチャ多いので詳細はこちらでご確認ください。
便利そうなところでいうと、
不法侵入があり、自己の費用で交換したとき(警察への届出が必要)にドアロック交換費用を出してくれたり、対象の事故によって損害を受けた家財の残存物を清掃および運搬したとき掛かる残存物清掃費用を出してくれたりします。
ユニーク保険と言ってもそれほどユニークではなかった
今回のユニーク保険について調べてみましたが、私が思っていたようなユニークさはありませんでしたね。
住友生命が単に少額短期保険に参入する為にアイアル少額短期保険を買収したニュースのおまけみたいなものでした。
今回ご紹介した孤独死保険や拡充された家財保険は他の保険会社でも取り扱いしており、ユニーク保険として最初に紹介したような特殊な保険は、現状賃貸トラブル向けには出てないようです。
オーナーの立場からすると、「繁忙期に申込入っていたのにキャンセルになって空室が埋まらない場合に補填してくれる保険」や「不良入居者が出た場合に弁護士に相談できる保険」なんかあると面白いんじゃないかと思いますが、保険料ってどれくらいになるんでしょうね(笑)
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