建築基準法が一部改正され、令和元年(2019年)6月25日より施行開始!改正で何が変わったの?

コラム


どうも不動産職人です。

不動産の売買でも、とにかく付きまとうのが建築基準法。

マンションなんかでは容積率オーバーで同規模の建物が建てられないといった問題や戸建てやアパートだと建築法上の道路は非常に重要だったりします。

細かいところを上げるときりがないのでこの辺にしておきますが、その建築基準法の改正が平成30年6月27日公布され、令和元年(2019年)6月25日より施行されます。

今回の建築基準法の改正では、近年の大規模火災や空き家の問題、木造建築を巡る多様なニーズへの対応など様々な環境の変化が背景にあり、そのためには何が必要になるかをポイントとして改正が行われました。

建築基準法が改正になった背景

今回の建築基準法の改正には3つのポイントが背景になります。

国土交通省HP「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について」の概要より

① 建築物・市街地の安全性の確保

○ 糸魚川市大規模火災(H28.12)や埼玉県三芳町倉庫火災(H29.2)などの大規模火 災による甚大な被害の発生を踏まえ、建築物の適切な維持保全・改修等により、 建築物の安全性の確保を図ることや、密集市街地の解消を進めることが課題。

② 既存建築ストックの活用

○ 空き家の総数は、この20年で1.8倍に増加しており、用途変更等による利活用が
極めて重要。
○ 一方で、その活用に当たっては、建築基準法に適合させるために、大規模な工
事が必要となる場合があることが課題。
「未来投資戦略」(平成29年6月9日閣議決定)
第2 Ⅰ. 8.既存住宅流通・リフォーム市場を中心とした住宅市場の活性化
・古民家の商業的利用や、空き家等のグループホーム・保育所としての活用といった新たなニーズに対応する
べく、既存建築物を他用途に円滑に転用等するための建築規制の合理化を行う。

③ 木造建築を巡る多様なニーズへの対応
○ 必要な性能を有する木造建築物の整備の円滑化を通じて、木造に対する多様な
消費者ニーズへの対応、地域資源を活用した地域振興を図ることが必要。
「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)
第2 Ⅰ. 3.(2) iv) ②林業の成長産業化
・これまで木造によることの少なかった建築物等の木造・木質化の推進に向けて更なる施策を検討する。

かみ砕いて言うと

① 建築物・市街地の安全性の確保

密集地で火災が起きた場合に対処は難しく、今預かっている火災物件ですが、裏の長屋から火が出て延焼しましたが、延焼を止めるために建物はガンガンに壊されていました。そのエリアもかなり密集しており、建物の裏は草木が茂った空き地でした。

そういった延焼を抑えるためにどうするかを考えようということですね。

②既存建築ストックの活用

今や空き家は社会問題化しており、平成30年度の調査では846万戸まで増えています。ここ5年では空き家の増加は鈍化した感がありますが、それでも新築は建てられ続け、ストックは増える一方です。その問題はおいといて、取り敢えずその空き家を規制緩和することで使いやすくするための改正。

③木造建築を巡る多様なニーズへの対応

木造建築の進歩により耐火構造に優れた物件には木を使ってもいいよとことで規制緩和する。

ザックリ書いてみましたが、次の項目で法案の内容について詳しく見ていきましょう。

建築基準法の改正法案の概要

背景や必要性に対して下記のような変更が行われました。

同じ資料より

法案の概要

1.安全性の確保

①建築物・市街地の安全性の確保

維持保全計画に基づく適切な維持保全の促進等により、建築物の更なる安全性の確保を図るとともに、防火改修・建替え等を通じた市街地の安全性の確保を実現。

○ 維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲を拡大(大規模倉庫等を想定)。
○ 既存不適格建築物の所有者等に対する特定行政庁による指導及び助言の創設。
○ 防火地域・準防火地域内において、延焼防止性能の高い建築物の建蔽率を10%緩和。

2.既存建築ストックの活用

①戸建住宅等の福祉施設等への用途変更に伴う制限の合理化
空き家等を福祉施設・商業施設等に用途変更する際に、大規模な改修工事を不要とするとともに、
手続を合理化し、既存建築ストックの利活用を促進。

○ 戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ階数3以下)を福祉施設等とする場合に、在館者が迅速に避難
できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする。
○ 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を見直し(不要の規模上限を100㎡から200㎡に見直し)。

②大規模な建築物等に係る制限の合理化

既存建築ストックの多様な形での利活用を促進。

○ 既存不適格建築物を用途変更する場合に、段階的・計画的に現行基準に適合させていくことを
可能とする仕組みを導入。
○ 新たに整備される仮設建築物と同様、既存建築物を一時的に特定の用途とする場合も制限を緩和。

3.木造建築の推進

①木造建築物等に係る制限の合理化

中層木造共同住宅など木造建築物の整備を推進するとともに、防火

○ 耐火構造等とすべき木造建築物の対象を見直し(高さ13m・軒高9m超→高さ16m超・階数4以上) 。
○ 上記の規制を受ける場合についても、木材のあらわし等の耐火構造以外の構造を可能とするよう基準を見直し。
○ 防火地域・準防火地域内において高い延焼防止性能が求められる建築物についても、内部の壁・柱等において更なる木材利用が可能となるよう基準を見直し。

<その他>

○ 老人ホーム等の共用の廊下や階段について、共同住宅と同様に、容積率の算定基礎となる床面積から除外
○ 興行場等の仮設建築物の存続期間(現行1年)の延長等 ○ 用途制限等に係る特例許可手続の簡素化 等

かみ砕いて言うと

1.安全性の確保

1-①では、これまで放置されていた大規模倉庫等について維持保全の促進、行政がヤバい建物は注意、延焼防止性能が高いものは建ぺい率緩和。

2.既存建築ストックの活用

2-① 空き家でも特に戸建を福祉施設にしやすくするための緩和。(グループホームなどを想定してると思います)

②既存不適格の建物を良くしていく、建築確認の規模の上限をアップ。

3.木造建築の推進

3-① 耐火構造とすべき木造建築物の高さの上限アップ、防火、準防火地域において高い延焼防止性のがある建築物でも木材が使える。

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建築基準法改正による目標・効果

下記のような建築基準法改正による目標と効果が期待されている。

同じ資料より

 ①既存建築物の適切な維持保全・改修等を通じた、建築物の安全性の確保及び密集市街地の解消の実現。
②古民家の商業的利用や、空き家等のグループホーム・保育所としての活用といった既存建築物の活用等による経済活性化。
(KPI)①地震時等に著しく危険な密集市街地の面積 4,039ha(H28)→ おおむね解消(H32)
②賃貸・売却用等以外の「その他空き家」数 318万戸(H25)→ 400万戸程度におさえる(H37)

今回の改正では、現在の日本が抱える住宅事情の問題点を改善がポイントになっていると思うが、特に空き家問題では古民家で商業利用出来たり、グループホームや保育所に使えるようなエリアの物件は今回の改正によってまあ何とか活用できるのかなとは思います。

しかし、本当に問題なのは誰も使わない、欲しがらないような地方のポツンと一軒家のような物件をどうするかにあると思う。

阿部さんが地方創生を謳うも実際には地方への移住は進まず、ほとんど効果が上がらないまま方向転換を強いられている。

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今回の建築基準法改正では、まだまだ完ぺきとは言えないと思うので、今後もこまめな改正が必要だと思います。

日本は、古い法律を変えずにやっていることが多すぎる気がします。まあ、最近は民法も変更があったり、何とかしようという姿勢は見られますが、それでも法改正は時代の流れにマダマダ追い付いていない気がします。

時代の先を行くような法改正が行われるといいんですが…

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