建築基準法は当然守られるべきなのですが、この建築については確認検査を終えてから検査済みまできちんと取らず、車庫を居室にしたり、屋上に倉庫を建てたり、三階を四階にしたりと皆さん色々とやっています。
こういった建築基準法に明らかに違反して建てられている物件を違法建築物件と言います。
一方で、既存不適格物件がありますが、こちらは建築基準法が施行される前に建築されていたり、建築された後で法令が変わったりと当時は大丈夫だったのに、現在では建築基準を満たしていない状態の物件を言います。
大阪では本当に違法建築が多い(笑)チョットでも得したいと思うんでしょうかね。
こういった物件は、融資がつかないことが多く、売却は結構大変です。
今日は違法建築や既存不適格になるのはどういった物件なのかについてお話ししたいと思います。
違法建築物件・既存不適格物件とは
違法建築物件、既存不適格物件のいずれも建築基準法の条件を満たしていないという点では同じです。
しかし、違法建築が意図的に建築基準法違反しているのに対して、既存不適格物件はどちらかというと不可抗力です。既存不適格物件は大規模なマンションでも結構あります。
容積率・建ぺい率をオーバーしている
違法建築で建築基準に違反しているポイントで一番多いのが容積率・建ぺい率オーバーです。
建築申請時に申請していなかった倉庫や部屋を増築してしまい、指定容積率・建ぺい率をオーバーしてしまうケースです。他にも、確認時には隣の敷地を借りて実際の土地よりも広い面積で申請して大きな建物を建てている場合もあります。
壊して元通りにすれば違法建築ではなくなりますが、実際には部屋を駐車場に戻したり、敷地一杯に建物を建てていると簡単に元通りという訳にはいきません。
大阪のもったいない精神は見習うべきか、隙間使ってまえというのは法律上は有効ではありません(笑)
行政も余程周囲に危険がなければあまり細かいことは言わないようですが、指摘されると最悪取り壊ししないといけないこともあります。
既存不適格物件では用途地域の変更で容積率・建ぺい率が変わったケースが多いです。
既存不適格物件は、建築基準法上の道路に接道義務を満たしていない
既存不適格物件になってしまう要因で多いのが、建築基準法上の道路に接道する義務を果たせなくなったケース。
土地を借りて道路として申請していたのに、相続時に所有者が変わって道路を使わせないと言われてしまい、道路幅が狭くなって基準を満たさなったなんてことがあります。
接道義務とは、第43条1項に「建築物の敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」あり、これを接道義務と言います。
2mが結構厳しいんですよね。この間も接道が1.95mしかない土地の依頼がありましたが、古家がついていて結構大変でした。
ここでいう道路は、第42条に定められている建築法上の道路のことを指します。
道路には次のような種類があります。
・第42条第1項第1号道路/1項1号道路
国道、県道、市道などの道路法上の道路
・第42条第1項第2号/1項2号道路
開発道路等、土地区画整理法、都市計画法その他の法令による道路
・第42条第1項第3号/1項3号道路
建築基準法施行時以前よりある道路
・第42条第1項第4号/1項4号道路
道路法、都市計画法その他の法令により事業計画のある道路で特定行政庁が指定した道路
・第42条第1項第5号/1項5号道路(位置指定道路とも言う)
土地所有者が作った道路に対して、特定行政庁からその位置の指定を受けた道路
・第42条第2項/2項道路(みなし道路ども言う)
建築基準法施行の際、既に建築物が立ち並んでいる4m未満の道路で、将来は4mに拡幅が可能と特定行政庁が指定した道路
・第42条第3項/3項道路
将来も拡張困難な2項道路の境界線の位置を中心線から1.35m以上2m(3m)未満に緩和する道。※ただし、崖地などは2.7m以上4m(6m)未満でOK。
・第42条第4項/4項道路
6m区域内にある道路幅員6m未満の道路で特定行政庁が認めた道で次の要件が3つの要件に該当するもの。
1 避難・通行に安全上支障が無い幅員4m以上の道
2 築計画等に適合した幅員4m以上の道
3 6m区域指定時に現存していた6m未満の法42条適用の道路
・第42条第5項/5項道路
6m区域指定時に現に存していた道(4項3号)で幅員4m未満の道。6m区域指定時に境界線とみなされていた線を境界とみなす。 建築基準法第42条第6項(6項道路) 幅員1.8m未満の2項道路 (建築審査委員会の同意が必要)
この道路に建築後接道しなくなった、接道していた道路の幅が狭くなったりしたために、接道義務を果たせなくなり、既存不適格物件となります。
他には、建築基準法が施工される前に建築された物件などは、接道する道路が幅員4メートル未満の道路でも建築されているケースや高さ制限オーバー、防火指定違反、日影規制に抵触するといったケースもあります。
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違法建築・既存不適格を解消することはできる?
違法建築や既存不適格物件の問題は、次に同じ規模の建物が建てられない、建築自体が出来ないといった場合もあり、金融機関からの融資が付きにくく、売却が非常に難しいです。
この間売却した物件も違法建築で融資を使おうとしたのですが、信金はOK出したのですが保証会社がすべてNGで融資が出ず、最終的には現金で中国人が買ってくれました。
では、違法建築・既存不適格の物件は、どうすれば解消できるのでしょうか。
容積率・建ぺい率オーバーを解消する減築リフォーム
容積率・建ぺい率オーバーしているなら、基準内に直すというのが減築リフォームという方法です。
違法建築で増築した部分だけ壊せば良いのであれば可能性があるかもしれませんが、建物の一部を壊すというのは正直厳しいです。
しかし、最近では、リノベーションと絡めて減築リフォームをするケースもあり、リビングと部屋を引っ付けてリビングは広くするけど床面積は減らすといった方法で、容積率・建ぺい率オーバーを解消したりしてます。
既存不適格物件は接道義務を満たす
既存不適格物件になってしまう場合のほとんどが建築法上の接道義務を満たしていない場合がほとんどなので、接道を義務を満たすことで既存不適格を解消することが出来ます。
例えば、幅員4m未満の道路だと場合によっては2項道路として認めてもらう、私道を位置指定道路として認めてもらうといった方法があります。
又、相続の関係で借地として借りていた道路が契約を更新できなくなり、接道が無くなった場合などもあり、その場合は再度借地として契約する方法や隣地の所有者に購入してもらうといった方法などもあります。
道路幅が2mを満たしていない物件では、1.95mとかだと測り方次第というところもあり、確定測量していない場合は測量士に便宜を図ってもらうケースもあります。
違法建築はやめましょう
既存不適格物件は仕方ないとしても、違法建築はやめましょう。
結構知り合いに建ててもらった際に、これやってあれやってと言っていると実は違法建築になっていたということもあります。
この場合、行政から指摘されるとせっかく建築した建物を壊さないといけない可能性もありますし、その大工さんも罰せられます。
投資的な目線で話をすると、将来的に自分の物件の価値を下げることになります。
一時的に自分の欲求を満たしたとしても、売却時にはしっぺ返しが来ます。
やはり、きちんと建築基準法に則って建物を建てましょう(笑)
最近、既存不適格物件を売却出来るようにするといったセミナーをやっている会社があるようですが、結構なコンサル費を払わされるようなのでご注意を。
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