不動産投資の失敗例①相続対策で行う不動産投資

不動産投資失敗


どうも不動産職人です。

平成27年の税制改革でハウスメーカーなどが営業トークで、「相続税対策になりますのでアパートを建てましょう」ということで、相続税対策でアパートを建てたオーナーさんも多いと思います。

しかし、近年の不動産投資ブームもあり、相続税対策以外でも投資のひとつとしてアパート投資も増えており、アパートの過剰供給が問題になっています。

かぼちゃの馬車やレオ〇パレス問題で今はこれまでのようなイケイケで建築されることは少なくなりましたが、それでも未だにアパート建築は続いています。

特に、賃貸需要の少ないエリアでは、入居率が20%しかないようなエリアもあり、県がアパートの建築許可を出さないというところも出てきています。

又、サブリースで家賃保証があるからと始めたオーナーさんがサブリースの落とし穴、家賃の減額や解除が可能という点を知らずに、相続税対策が大きな負債を抱えてしまうことにも。

確かに不動産投資は相続税対策に有効な手段ですが、相続税対策と言えどもきちんと収益性を考えずに建築されたアパートは負動産になってしまいます。そうなるとせっかく相続税が安くなっても結局資産を大きく減らすことに。

では、相続対策で行う不動産投資の失敗する点についてお話したいと思います。

相続対策で行う不動産投資

では、相続対策で行う不動産投資は何故失敗してしまうのでしょうか。

相続対策で不動産対策を行う場合の多くは、土地を持っている地主。

そのため、土地があるので建物の建築費用だけで建築できるので、普通に考えれば大きな収益を上げることが出来るはずです。

相続対策としては、そのまま土地で持っているよりは上に建物を建てて、借り入れをすれば大きく資産を圧縮できるので非常に有効です。

しかし、それでも失敗してしまうケースがあるのです。

不動産投資なら土地の価格も考える必要があります

不動産投資で収益を計算するにあたり、仕入れ価格を考えます。

例えば、1億円の一棟アパートを買うと、ザックリですが土地5,000万円、建物5,000万円の価値があるとしましょう。

仕入れ価格は、1億円ですね。

年間の家賃が1,000万円とすると年間10%の表面利回り。

土地があるとすると建物5,000万円を用意すれば良いということになり、仕入れ価格は5,000万円。

同じ物件でも表面利回りは20%となります。

こう考えるとやっぱり損することは無さそうです。

しかし、ハウスメーカーのシミュレーションを見ると、土地代を入れずに同じくらいの収益のシミュレーションとなっています。

簡単に言うと、建物10,000万円で表面利回りは10%。

更に、サブリースで家賃保証してくれると言われると損をすることはないと思ってしまいますよね。

しかし、実際には、土地が5,000万円とすると仕入れ価格は15,000万円掛かっていると計算しないといけないわけです。

そうしないと市場の利回りと比較することが出来ないからです。

では、そうやって考えると

1,000万円の収入で仕入れ15,000万円となると表面利回り6.7%

となる訳です。

不動産投資と言うからにはいくら持っている土地だと言ってもきちんとコストに入れる必要があります。売却する際は土地、建物含めて利回りを算出することになるので、建物だけ計算して建てていると利回りが低くなり過ぎて売れません。

実際にコストとして計算すると大きく収益を下げてしまうこともあり、不動産投資として見合わないケースもあります。

サブリースの落とし穴

次にサブリースについて。

サブリースとは、サブリース業者がオーナーとマスターリース契約という物件を借り上げる契約を結びます。

サブリース業者は、借り上げた物件を転貸=サブリースして一般の入居者に貸して収益を上げ、オーナーに支払をします。

サブリース業者が30年一括借り上げしてくれるので、返済に困ることはないと思ってしまいますよね。ここに落とし穴があります。

まあ、レオ〇レスがこれだけ世間を騒がせ、サブリースの問題点については結構皆さんもご存じなのではないかと思いますが(笑)

では、サブリース契約では何に注意をしないといけないか、改めて確認していきましょう。

サブリース業者は借主として借地借家法の適用を受けることが出来ます。

これが大家さんにとっては非常にやっかいなことになります。

借地借家法の適用を受けられることで、

・家賃の減額請求が可能(家賃保証の金額を下げることができる)
・契約の解除が可能(マスターリース契約を解除できる)

となるといくら30年一括借り上げと言っても、サブリース業者は家賃の減額は出来るし解除も出来ます。

又、多くの契約書には、小さく2年ごとの家賃の見直しなどの条項があり、ほとんどのサブリース業者が説明していないので問題になってる訳です。

※今後は、賃貸不動産経営管理士など経験者が記名押印、説明することになっていくと思います。

不動産投資を使った相続対策で失敗しない為には

では、相続対策で不動産投資を行う上で失敗しない為にはどうすれば良いのでしょうか。

まずは、我々不動産コンサルタントなどのきちんとした専門家の意見を聞くと良いと思います。

税理士など相続対策に関連する士業の方は、相続としてかかわることはありますが不動産投資はプロではありません。

不動産投資で相続税の減税が出来るかどうかの計算は出来ても、その不動産投資で収益を上げることが出来るのかはわかりません。

そのため、机上の計算でその投資はOKと出してしまい、実際に運用を始めると不動産投資自体が上手くいかず、相続税は減額出来ても収益の上がらない負動産だけが残ってしまい、相続人に逆に迷惑をかけてしまうということになります。

相続対策で不動産投資を行う際には、どういった点に注意をすれば良いでしょうか。

その市場で不動産投資は成り立つのか

相続税対策で行う不動産投資で失敗する一番の理由は、不動産投資が成り立たないエリアで不動産投資をしてしまうことです。

例えば、地方の賃貸需要が少ないエリアで、駅徒歩10分を超えるような場所に土地を持っているとしましょう。

周囲に物件もないし、賃貸物件を建てれば儲かりますよなんて言われたりします。

しかし、そもそも賃貸需要が少ないエリアな訳ですから当然空室リスクは高い訳です。

又、そのエリアが住宅街で単身者が少ないエリアだとすると、そこに単身者向けのアパートを建てても当然入居者は入りません。

そのため、いくら相続税対策で不動産投資をすると言っても、まずは賃貸需要のあるエリアかどうか分析する必要があります。

賃貸に向かないエリアなら売却して資産組み換えもあり

そもそも賃貸に向いていないエリアなら売却してしまって、そのお金を元手に別の場所で不動産投資をするという方法もあります。

小規模宅地の特例を使うと、自宅や賃貸事業宅地等を持っていると条件次第で相続税を大幅にダウンすることが出来ます。

自宅の場合は、一緒に住んでいた配偶者、又は同居人家族が相続したとすると330㎡までに敷地であれば、80%の評価減を受けることが出来ます。

1億円の土地が2,000万円の評価になるというわけです。

これに加えて、賃貸事業宅地を持っている場合も200㎡までなら50%の評価減を受けることが出来ます。

こういった場合、路線価が高いほど減税効果があるので、賃貸に向かない土地を売却してもっと路線価が高く、賃貸需要のあるエリアへ資産組み換えしてしまうことが有効になります。

しかし、頭ではわかっていても、先祖代々の土地を売るというのは地主さんには結構厳しいことなので実際には中々決断することは難しい場合が多いです。

ですが、相続税効果も高く、賃貸経営も安定するなら決断する選択肢もありだと思います。

相続税対策と言えど真剣に経営を考えるべき

不動産を使って相続税宅策をするにしても、結局は不動産投資として成り立つかどうかが重要になります。

ハウスメーカーの営業マンは建てるのが仕事なので、その後の経営については、「オーナー様の判断で建てたのですから知りません」というスタンスです。

そのため、どんなに良い条件に見えても、やはりきちんと収益のシミュレーションをすることが重要になってきます。

そのエリアは賃貸需要があるか、賃料の下落はどれくらいになるのか、将来的に売却できるのかなど、不動産投資として購入するのであれば当たり前に注意するところですが、相続対策となると相続税のことばかり気にして、その後相続する人のことを考えるところまで行きません。

相続人が負動産を相続してしまうと相続税は少なくなっても、経営に手間暇やお金が掛かり、相続するんではなかったという状況も多々あります。

そうなっては相続人がかわいそうです。

そうならない為には、きちんと専門家に相談し、士業とコラボして総合的な対策を受けることが重要です。

税理士を信頼している方も多いですが、不動産関連が得意な税理士は数が少なく、有効な対策が出来る税理士はほとんどいないと言ってもいいかもしれません。

酷い税理士だとハウスメーカーからキックバック(報酬)をもらっているケースもあります。

調子の良い話を持ってくる人間は取り敢えず疑い、きちんと検証を行って自分が納得した上で行うことが重要です。

せっかく持っている資産を減らすような相続対策はしないようにしましょう。

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