新築信仰が強い日本でも中古マンションが主役へ。快適さよりも費用対効果を選ぶ時代に

コラム

どうも不動産職人です。

先日、日経新聞でも記事になっていましたが、東日本レインズによると、18年の中古マンションの成約数は3万7217戸。不動産経済研究所がまとめた新築供給戸数の3万7132戸をわずかながらも上回ったようです。

日経新聞記事:マンション、中古が主役 首都圏は3年連続で新築超え

5年前には新築が中古を2万戸も上回っていましたが、ここ3年は中古マンションに軍配。

いよいよ中古マンションが主役の時代が始まったと言えます。

背景には、建築コストの高騰で新築の価格が上がり過ぎたこと、首都圏では1994年から07年までの大量供給された時期に購入した人達が売却の時期を迎えて良質な物件が増えていることが大きく影響しています。

このまま中古が主役の時代は続くのでしょうか。

日本人の新築信仰

世界的には、住宅と言えば中古の流通が一般的。

先進国でもフランスで6割以上、アメリカで7割以上、そしてイギリスでは約9割となっていますが、日本では2017年でも4割弱に程度に留まっています。

なぜここまで世界と日本の住宅の流通に違いがあるのでしょうか。

それは、日本の住宅政策に起因します。

戦後の住宅不足を新築でカバー

戦後約420万戸住宅が不足していると言われており、日本住宅公団(現在のUR)を中心に50㎡前後の新築がガンガン建設されてきました。

海外からは日本人はうさぎ小屋に住んでいると言われてましたが、その効果もあり、誰もがマイホームを持てる時代がやってきました。

そして、現在では総世帯数約5500万に対して住宅の供給戸数は6200万戸と世帯数を大きく上回る結果に。現在では空き家850万戸を越え、大きな問題になっています。

中古住宅の割合いが多い世界各国では、こういった事態を防ぐ為に住宅の総量規制を行って住宅の供給量を調整していますが、日本では未だに行われていません。

私の見解では、新築はデベロッパーが売却するのでGDPに入れることが出来るので、政府も新築が売れれば売れるほど良く、ローン減税など中古より新築を購入する方が得だと思わせるような政策を打ち出しているのだと考えています。

新築住宅の安心感

日本では、中古住宅を購入するのは怖い、怪しいのではという考え方が長い間ありました。

仲介する不動産業者もマダマダ信頼性が低く、騙されるのではと思っている人も多いのではないでしょうか。

逆に、新築マンションは大手デベロッパーが建設し、設備も新しいので安心という考え方強く、中古を買うなら新築を買う方が安心感もあるということで、日本では新築信仰が根強く残っているのではないかと思います。

実際に不動産会社で勤務して物件を見ていると、やはり新築は割高だなと思う反面、最近は場所が良ければ価格は横ばいから上昇というのも見てるので一概に新築が高いというわけではないなと感じています。

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新築マンションの価格が上昇し過ぎて中古マンションに関心へ

とは言え、新築マンションの価格は上昇を続け、特に首都圏の新築マンションの価格は、2018年には5500万(参照:東京カンテイマンションデータ白書2018)を越えました。

そのため、高所得者以外は中々手を出せない状況のため、新築を諦めて中古マンションを購入する人が増えています。

日本レインズによると、18年の中古マンションの成約数は3万7217戸と新築の3万7132戸を抑え、3年連続で中古の成約数が上回りました。

今後もこの傾向は続くと私も思いますし、そう変わっていくべきだと思います。

23区内の新築マンションの価格は高止まるもそれには訳が

首都圏での新築マンション価格は年々上昇しておりますが、実は23区内の新築マンションは、平均価格7142万と横ばいと意外な感じ。

これには実は理由があり、デベロッパーが買い手がいなくなるのを恐れて、専有部分の面積を狭くしているというのがあります。特に収納関係が少ない物件が多く、ウォークインクローゼットで誤魔化している感がありあり。

新築のこういった面を消費者は見逃さず、新しさや新築のブランドよりも実際に住んだ場合の住み心地を重視し、費用対効果を考えて中古を選ぶ傾向になっていると思います。

中古アレルギーがない若者世代

もう一つ中古人気が高まっている点に若者世代が中古を選ぶ傾向が強いというところも大きな変化。

私の親世代や私たちも含め高度成長期のとにかく新しい物がドンドン開発され、それを買いたかった世代は、新築が当たり前、新築じゃないと恥ずかしいなんていう思いが強かったのではないでしょうか。

でも、うちの親はその時代から自宅も車もすべて中古、家電も現品限りなど今思うとコスト意識が強かったなと。その影響で私も基本的に自分の趣味などで欲しいものは新品買いますが、自宅も中古ですし、車や単車なんかも中古が多いです。

そして、今の若者世代は親がバブル崩壊やリーマンで結構お金に苦労した人も多く、中古アレルギーは比較的少ない。

そこには、シェアハウスやシェアカーなど人のものをみんなで使うという文化の変化も大きく影響しているのではないかと思います。

そしてこの世代は、これまでのように郊外の自家用車が止めれる庭付きの一軒家よりも利便性の良い駅近マンションが人気が高く、快適さよりも合理性を求める世代ともいえます。

今後も中古マンションは主役を務める!

新築マンションには新築マンションの良さがあり、中古マンションには中古マンションの良さがあり、どちらを選んだから良い、悪いというのはありません。

ただ、社会の傾向としては、新築信仰が根強かった2年ほど前から比べると中古マンションも売れ出したよという話です。

しかし、今後も今の若者世代がこれからの消費は背負っていくわけですから当面はこの中古マンション時代が続くと思っています。

空家問題への取組みも年々盛んになっており、先日紹介した家いちばや全国版空家バンクも取引が徐々に増えています。

そして、この空家問題がもっと深刻になってくれば、いよいよ住宅供給の総量規制も行われるでしょう。これを行わない限りは空家問題は解決しないですから。

ということで、今後はより中古マンションの流通は増えていくと思います。

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