どうも不動産職人です。
オーナー様から「他社の月次レポートで空室率3%って書いてあるけど、ウチは8%って言われた。差が大きすぎないか?」というご相談をよく受けます。
実はこれ、運営が下手なわけでも数字を盛っているわけでもなく、管理会社によって「空室率」の計算方法そのものが違うことが原因のケースが大半です。
同じ物件・同じ事実でも、見方を変えれば「2.5%」「10%」「12%」と3つの数字が並ぶ世界。
今日は、現場で何度も「これを知らずに損していた」を見てきた不動産職人として、3つの空室率の算出方式と、管理会社に確認しておきたいポイントを率直にお伝えします。
空室率の計算方法は1つではない
「空室率」という同じ言葉が業界で飛び交っていますが、中身(計算式)は複数混在しているのが実情です。
主に使われているのは以下の3つです。
① 時点空室率(戸数ベース)
特定の時点における空室戸数を、総戸数で割って算出する方式です。
計算式は「空室戸数 ÷ 総戸数 × 100」と、シンプルで分かりやすい指標になります。
ただし、月末や報告日というピンポイントの数字なので、瞬間風速的な指標になりがちです。
たとえば10戸の物件で1戸退去すれば、時点空室率は一気に10%へ跳ね上がります。
総戸数の少ない物件ほど、数字の振れ幅が大きく出やすい方式だと、現場感覚としても言えます。
② 期間空室率(日数ベース)
一定期間における空室の日数を、総戸数×期間日数で割って算出する方式です。
計算式は「空室日数の合計 ÷(総戸数 × 期間日数)× 100」となります。
退去から次の入居までのタイムラグも含めて把握できるため、収益への影響を時間軸で測りやすい指標です。
一方で、計算がやや複雑なため、明示的に提示していない管理会社も少なくありません。
③ 賃料ベース空室率(賃料損失率)
満室時の想定賃料に対して、空室により発生していない賃料の割合を計算する方式です。
計算式は「空室分の想定賃料 ÷ 満室想定賃料 × 100」となります。
キャッシュフローへの影響をダイレクトに表現できるため、投資家にとって最も実感に近い数字だと、私は思います。
ただし、退去した部屋が他より高い賃料設定だった場合に数字が大きく振れる、という特徴もあります。
3方式の使い分けのイメージ
ここまでの3つを簡単に比較すると、こうなります。
- 時点空室率:今この瞬間の状況を見たい → 月次レポートの定番
- 期間空室率:一定期間の平均値を見たい → 年間運営の評価に
- 賃料ベース空室率:投資収益への影響を見たい → キャッシュフロー判断に
どれが正解、ということではなく、目的に応じて使い分けるのが本質だと私は考えています。
投資家が陥りやすい「数字のマジック」
3つの方式があるということは、同じ物件でも「どの数字を見せられているか」で印象が大きく変わるということです。
これ、現場では結構な落とし穴になっています。
戸数の少ない物件ほど差が出る
総戸数10戸の物件で、ファミリータイプの1戸が3ヶ月間空室になったケースで考えてみます。
時点空室率は10%という、ちょっとギョッとする数字に見えます。
しかし、年間平均で見れば2.5%程度に収まることもあります。
その空室部屋が他より高い賃料設定であれば、賃料ベースでは15%を超えることも珍しくありません。
同じ事実でも、どの方式で見るかによって、評価の景色がまったく変わるのです。
これを知らずに「ウチの管理、ダメじゃないか」と感情的になってしまうオーナー様、本当に多いです。
「5%です」の中身を疑う視点
管理会社から「空室率は5%です」と言われても、その5%がどの方式の数字か分からなければ、本来の実態は把握できません。
特に物件購入の検討時、過去の空室率を尋ねる場面では、必ず計算方法もあわせて確認しておきたいところです。
質問の仕方としては「その5%は時点ですか?年間平均ですか?賃料ベースですか?」とストレートに聞いてしまうのが早道です。
ここでハッキリ答えられない営業マンの会社は、正直、運営の精度を疑った方がいいです。
季節要因も加味する必要がある
賃貸需要は1〜3月の繁忙期と6〜8月の閑散期で大きく動きます。
提示された数字が「いつ時点」のものか、年間平均なのか月次なのかも重要な確認ポイントです。
3月末時点の数字だけを見て一年を評価してしまうと、現実とギャップが生まれます。
これは購入検討時にも、運営評価時にも、両方で気をつけてほしいポイントです。
不動産職人が現場で採用している考え方
ここからは、参考までに私たちが日々の月次レポートで採用している方針を率直にお伝えします。
オーナー様にも、相見積もりや他社比較の判断軸として使っていただければと。
時点空室率と期間空室率の両方を併記
オーナー様が瞬間値と平均値の両方を見られるよう、毎月の月初時点と過去30日の平均、この2つを必ず記載しています。
時点だけでは一時的な動きに振り回されてしまい、期間だけでは現状把握が遅れる、という理由からです。
両方を見ることで、安定性とリアルタイム性のバランスを取れる、というのが私たちの結論でした。
賃料ベースは補足情報として提示
主指標は戸数ベースですが、投資判断に直結するキャッシュフロー影響が分かるよう、賃料ベースの数字も補足表示しています。
特に空室期間が長期化している部屋がある場合は、賃料ベースの数字を太字で強調することで、優先的に対策すべき部屋が一目で見えるようにしています。
ここはオーナー様にも「優先順位がつけられて助かる」と評判の項目です。
退去予定の可視化もセットで
現時点の空室率だけでなく、向こう90日以内の退去予告戸数も同時に開示しています。
「今は満室だが、来月3戸退去予定」という情報があるかないかで、対策のスピードが大きく変わるためです。
未来を含めた稼働見通しを持っていただくことが、結果的に空室期間の短縮、つまりオーナー様の利回り維持につながると考えています。
あなたの管理会社に聞くべき3つの質問
最後に、ご自身の物件を任せている管理会社、または管理会社の変更を検討されている方が、確認しておきたい3つの質問をお伝えします。
これ、聞くだけで管理会社の「本気度」がだいたい分かります。
① 空室率はどの計算方式ですか?
戸数ベースか日数ベースか賃料ベースか、明確に答えられるかが分かれ目です。
「なんとなく」で報告されている場合、その後の改善議論も曖昧になりがちです。
② 月次レポートで継続的に開示されますか?
依頼すれば出してくれるレベルではなく、毎月のレポートに当然のように記載されているかが見極めポイントになります。
「言われたら出す」会社と「言われなくても出す」会社では、情報開示の姿勢に大きな差があります。
③ 賃料収入ベースのキャッシュフローも見せてくれますか?
空室率は割合の話ですが、最終的に投資家として知りたいのは「いくら入ってくるか」という金額です。
賃料ベースのキャッシュフローレポートを継続的に出している管理会社は、オーナー目線で運用してくれている可能性が高いと感じます。
まとめ:数字の裏側を見抜く目を持ちましょう
空室率という一見シンプルな指標も、計算方式によって示す意味が大きく異なります。
不動産投資の判断や管理会社評価において、「どの方式の数字なのか」を確認する習慣を持つことが、長期的な収益を守るうえで欠かせません。
数字を見せられる側ではなく、数字の中身を見抜ける側に回ること。
これが、オーナー様の資産を守る一番の防御策だと、不動産職人としてはお伝えしておきたいです。
ご自身の管理会社の月次レポートを改めて開いてみて、何か引っかかった方は、いつでも気軽にご相談ください。
それでは、また次回。


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