どうも不動産職人です。
最近、収益物件を購入したいオーナー様から「どの仲介会社に物件を探してもらえばいいのか」「いい物件かどうか、誰に相談すれば失敗しないのか」というご相談をよくいただきます。
収益物件の売買は、賃貸の契約や住宅購入と違って、買った瞬間から数千万円〜数億円規模の事業がスタートします。
物件のソーシングや物件概要書の出し方ひとつで、その後10年・20年の収益が大きく変わるのが現実です。
ただ、はっきり言ってしまうと、収益物件を扱う仲介会社にはピンキリの差があります。
表面利回りばかりを強調して中身がスカスカの物件を売る会社もあれば、実態の数字まで開示して買い手の長期収益を見てくれる会社もある。
今回は、不動産業界歴10年の現役プレイヤーである私が、収益物件の売買において依頼してよい仲介会社の特徴、避けるべき仲介会社の兆候、契約前に必ず確認したい5つのポイントを、オーナー様目線でお伝えします。
物件概要書を持ってきた営業マンを目の前にしたとき、どこを見ればよいか。
読み終えるころには、判断軸が明確になっているはずです。
1.なぜ収益物件の売買で「いい仲介会社探し」は難しいのか?
そもそも、なぜ収益物件の売買では「いい仲介会社探し」がこれほど難しいのでしょうか。
理由は大きく2つあります。
【理由①】情報の非対称性が住宅以上に大きい
収益物件の売買では、レントロール、修繕履歴、過去の空室期間、売主の売却理由、近隣の成約事例など、判断に必要な情報がほぼ業者側にしか集まりません。
レインズに登録されていない非公開物件も多く、買い手は与えられた物件概要書を信じるしかないというのが、現場の実態です。
【理由②】両手仲介の利益相反が起きやすい
住宅と違い、収益物件の売買では、同じ仲介会社が売主と買主の双方から手数料を取る両手仲介が成立しやすい構造です。
両手を狙うあまり、買主側からの問い合わせを意図的に断る「囲い込み」が起きることもあります。
買い手のオーナー様にとっては、その担当者が誰の側に立っているのかを見極めること自体が、最初のハードルになります
2.収益物件売買で依頼してよい仲介会社の5つの特徴
ここからは、収益物件の売買で「依頼してよい会社」の共通点を5つ、現場目線でお伝えします。
2-1. 物件概要書にマイナス情報が併記されている
依頼してよい会社の物件概要書には、表面利回りや満室想定収入だけでなく、現在の空室状況、過去の修繕履歴、近隣の競合物件、用途地域や再建築の可否、想定される将来の修繕費まで併記されています。
逆に、満室想定の利回りと立地写真しか書かれていない物件概要書は、買い手に都合のよい数字だけを切り取っている可能性が高いと見てください。
2-2. 「この物件は買わない方がよい」と堂々と言える
案件を成立させれば、仲介会社には仲介手数料が入ります。
それでも、買い手のオーナー様にとって長期の収益が見込めないと判断したときに、自社の売上を捨ててでも「今回はやめておきましょう」と言える会社は信頼できます。
目先の手数料ではなく、その後の取引関係を見ている証拠です。
2-3. レントロール・修繕履歴などの一次資料を出せる
「だいたい埋まっています」「修繕はそろそろ必要かもしれません」ではなく、現況のレントロール、過去5年分の修繕履歴、公図・測量図、登記簿謄本、固定資産税の納税通知書まで、出どころのある一次資料を契約前に提示できる会社は信頼できます。
逆に、これらを「契約後にお見せします」と渋る会社は、見せたくない理由があるか、社内に資料を整える仕組みがないかのどちらかです。
2-4. 売主の売却理由を、把握している範囲で正直に教えてくれる
収益物件の売却理由は、その物件のリスクと表裏一体です。
相続なのか、運営に行き詰まったのか、金融機関から借り換えを断られたのか。
依頼してよい会社は、把握している範囲で売却理由を正直に共有してくれます。
売却理由を曖昧にする会社は、買い手に伝えたくない事情を知っている可能性が高いです。
2-5. 出口戦略(5年後・10年後の売却)まで一緒に考える
買うときだけでなく、5年後・10年後に売る場面まで想定して、いま買おうとしている物件が次の買い手にどう見えるか、再販時の利回り想定、金融機関の評価の出方まで一緒に整理してくれる会社は、長期で頼れるパートナーです。
「とりあえず買えればOK」のスタンスの会社は、必ず出口でツケが回ってきます
3.収益物件売買で避けたい仲介会社の5つの兆候
逆に、これだけは気をつけてほしい仲介会社の兆候を5つお伝えします。
1つでも複数当てはまる場合は、その案件は要注意です。
3-1. 「今すぐ買わないと他に流れます」を連発する
「他にも申込みが入っています」「今週中に買付証明を入れないと流れます」と判断を急がせる会社は要注意です。
急がせる必要があるのは、たいてい買い手側ではなく、媒介契約の期限を切られている売り手側か、その仲介会社の月内成約事情です。
本当に良い物件でも、積算評価と収益還元で冷静に見直す時間は必ず確保すべきです。
3-2. 表面利回りばかり強調し、実質の数字を出さない
「表面利回り10%です」と打ち出すだけで、固定資産税、PM(プロパティマネジメント)費用、修繕積立、空室損、原状回復費、保険料、入退去時のAD(広告料)など、運営にかかる実費を反映した実質利回りを出さない会社は、買い手の意思決定を歪めています。
実質ベースの収支シミュレーションを契約前に出せるかどうかは、最低限の判断軸です。
3-3. 自社の収益構造と利益相反を説明しない
両手仲介の可能性、売主側から預かっている媒介契約の有無、リフォーム業者や保険会社からのキックバック、サブリース契約とのセット販売など、自社がどこから収益を得ているのかを聞いても明示できない会社は、利益相反を整理する仕組みを持っていない可能性があります。
3-4. レインズの登録状況を聞いても答えを濁す
専任媒介・専属専任媒介を売主から受けている物件は、レインズへの登録義務があります。
にもかかわらず「囲い込み」をして、買主側の他社からの問い合わせを「申込みが入っています」と断り、自社で両手を狙うケースが現場には存在します。
レインズの登録証明書を求めても出さない、ステータスを曖昧にする会社は要注意です。
3-5. 重要事項説明書(重説)の論点を、契約直前まで隠す
再建築不可、既存不適格、心理的瑕疵、越境、私道負担、用途地域の制限。
これらは重要事項説明書で必ず出てくる論点ですが、依頼してよい会社は、物件紹介の早い段階でこれらを開示します。
重説の場で初めて出してくる会社は、買い手の判断機会を奪っており、契約直前のドタバタを生むだけでなく、最悪の場合は不利な条件で契約させられることも考えられます。
4.契約前にやっておきたい3分チェック
営業マンから収益物件の物件概要書を出されたら、その場で以下の5項目を確認してください。
5つ中3つ以上にチェックが入らない場合、買付の申込みは一度保留することをお勧めします。
| ☐ 物件概要書に、空室状況・修繕履歴・再建築可否などのマイナス情報が併記されている
※特に記載がない場合は、念のため、担当者に確認しておく。 ☐ 実質利回り(固定資産税・PM費用・修繕積立・空室損を反映した数字)を出してくれる ※記載がない場合は、情報を出してくれるかを問い合わせしてみましょう。 ☐ 売主の売却理由を、把握している範囲で正直に共有してくれる ☐ レインズの登録証明書を、求めれば提示できる ☐ 出口(5年後・10年後の売却)まで含めて一緒に考えてくれる |
5.不動産職人からの最後の一問
不動産職人として、最後にひとつだけお伝えします。
物件を紹介してくれた仲介会社の担当者に、こう聞いてみてください。
「もしご自身のお金で、この物件を買うとしたら買いますか? 買わないとしたら、その理由を3つ教えてください。」
「買います」と即答する場合はその理由を、「買いません」と答える場合はリスクを3つ、その場で具体的に挙げられる担当者は、物件を数字とロジックで見ている証拠です。
逆に、曖昧な返事しか返ってこない、あるいは話題をそらそうとする場合は、その物件の本当の姿を担当者自身が把握できていないか、買い手に都合の悪い情報を出したくないと考えているかもしれません。
たった1つの問いで、その会社の文化と、その物件の素性が同時に見えてきます。
まとめ:収益物件売買で頼れる仲介会社と出会うために
最後にもう一度、整理しましょう。
収益物件の売買において、依頼してよい仲介会社の見極めポイントは、次の5つです。
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収益物件の売買は、買った瞬間に事業がスタートし、売った瞬間に成績が決まる長期の取り組みです。
豪華なパンフレットや高利回りの見出しではなく、地味な数字と一次資料を黙々と開示してくれる仲介会社こそ、長期で頼れるパートナーになります。
次回は、収益物件を購入した後に「最初の3ヶ月で必ず手を打つべきこと」を、実例を交えて解説します。
それではまた、不動産職人でした。


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