物件を売却する際に、一括査定サイトなどを使って複数社に査定依頼をする人は多いと思いますが、依頼する不動産会社によって上下幅数百万円もあり、実際に正しい査定金額っていくらなのと思ったことはないでしょうか。
基本的には、同物件に直近の成約事例があればそれを基準にして査定を行っていますが、事例の少ない物件では、周辺の類似物件などを参考にするので査定金額に差が出るケースはあります。
しかし、それなりに事例があるのに、事例よりかなり高い査定金額を出し来る不動産会社や逆に低い査定を出しくる不動産会社があるのはなぜか。
そこには各不動産会社の査定の仕方や営業戦略が関係しています。
同じ物件なのに不動産業者によって査定価格が違うのはなぜか
査定金額が不動産会社によって大きく違うとどの不動産会社を信用していいかわからなくなると思います。
各不動産会社の査定方法や考え方がわかれば、その意図するところがわかってきます。
ここでは、それぞれの不動産会社によって査定金額が変わる原因についてお話いたします。
査定方法が違う
査定には、取引事例比較法、収益還元法、原価法といった査定方法があります。
取引事例比較法
同じ物件、周辺の類似物件の取引事例を元に査定を行う。マンション、戸建て、土地など最も多く使われる。
収益還元法
賃貸中の物件、いわゆるオーナーチェンジなどの収益物件で使われる。収益を期待する利回りで割り戻して計算。収益還元価格=年間収入÷期待利回り
年間100万円の収入があり、期待利回りが5%の場合、物件価格は2,000万円となる。都心部ほど期待利回りは低く(物件価格は高く)、地方に行くほど高くなる。(安い)
原価法
一戸建てなどで使われる。対象不動産を仮に再度建築した場合の原価を算出後、築年数によって低下した価値を減価修正して価格を出す。「対象不動産価格=再調達原価−減価修正」。
参考にする資料が違う
自社の過去実績、レインズなどの事例、ポータルサイトを参考にするなど、不動産会社によって取扱う資料が異なるので査定に差が出る。
営業マンによる感覚的な部分が大きい
不動産会社の営業マンは、取り扱っている物件のエリアを限定されている場合が多いので、得意なエリアではない場合は思い切った査定が出来ないこともあります。
又、事例が少ない場合などは、他の物件の売却事例などを考慮して査定するので、営業マンの経験値や得意なエリアかどうかで大胆な価格を出したり、消極的な価格を出したりといったケースもあります。
媒介契約するために高めに出すことも。
物件価格は高い方がいいと思いますが、高い査定が出たと素直に喜んでいいわけではありません。お客様と専任媒介契約を結びたいがために他社よりも高い価格を付け、売れない場合は結局価格を下げられます。不動産も鮮度が大事で、長く残っていると売れ残り、何か問題がある物件と思われてしまいます。
査定金額に差がある場合に気を付けること
このように査定金額に差が有る原因は色々とありますが、依頼する側からすると高い査定をしてくれるところに依頼したくなります。
その査定金額が裏付けがあれば良いですが、単に媒介を取りたいがために他社より少し高く出しておけと言うような場合だと、結局売れずに困るのは売主さんです。
そういった場合は、一度他の不動産会社に本当にこの価格で売れるのか問合せしてみたり、自分自身でもポータルサイトなどで確認した方が良いと思います。
その上で実際に売れそうだということであれば、そこに任せればいいですし、チョット無理があるというようなら他の不動産会社の話を聞くのも良いでしょう。
私も媒介で競合したときに、「他社の方が査定金額が高い」と断られることも多いですが、後ほどレインズを見てみると長期間売れていないということも良く目にします。
そうならないためにも、全てを不動産会社に任せてしまうのではなく、自分でもある程度裏取りをし、不動産会社へ査定は答え合わせという感覚を持つ方が最終的に高値で売却することができます。
少しでも高く売りたいという方は、査定を依頼する際は、きちんと自分でもある程度の答えを持って依頼するようにしてください。
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