どうも不動産職人です。
不動産投資をするに当たり知っておきたい不動産投資用語のひとつに「直接還元法」がある。
不動産の価格を決める方法には、原価法、取引事例法、収益還元法がある。
原価法、取引事例法は又別の機会にお話させてもらいますが、今回は収益還元法についてお話したいと思います。
収益還元法では、収益を元に還元率で割り戻し、その物件がどのくらいの価値があるか判断します。なので、基本的には収益物件の価格を出すためのものです。
収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」がありますが、その時点の物件価格を出すのは「直接還元法」が便利です。
金融機関においては、土地、建物の価値から資産価値を割り出す積算法が主流ですが、最近では投資向けに積極的な金融機関は収益還元法を使っています。
積算価格では、スルガスキームで問題になった地方中古RCマンションが積算価格で高い評価が出るので融資しやすかったといったことがありましたが、最近では審査時にはレントロールなどで収益性もきちんと確認し、積算価格と収益還元法と両建てで物件を評価する傾向にあります。
やはり現在の収益から物件価格を割り出す方が合理性があると思います。(スルガのようにレントロール改ざんしては意味がありません。あくまでレントロールや賃料査定が適正という前提ですが)
今回は、「直接還元法」について詳しく解説したいと思います。
(DCF法はチョット難しいので別の機会に)
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直接還元法とは
一定期間(通常は1年間)の純収益を還元(還元利回り)で割って、100を掛けて収益還元価格を求める方法です。
対象不動産の収益価格=一期間の純収益÷還元利回り
例えば、還元利回り(表面利回り)を5%と設定し、年間の収益が100万円とすると、物件の収益価格は2,000万円になります。
計算式1,000,000円÷0.05=20,000,000円
実際に不動産投資を運営すると、年間経費(維持管理費・修繕費・公租公課・損害保険料・空室等損失相当額等)が必要となります。
この辺りは物件によって大きく変わるので、一般的な不動産屋さんだとこの表面利回りで物件価格を割り出します。
購入を検討する場合は、年間経費も含めるとその物件の実情により近い物件価格を割り出すことが可能です。
その際に注意しないといけないのが還元利回りの設定です。
先ほどは還元利回り(表面利回り)を5%と設定しましたが、年間経費を入れると収入が減るわけですから利回りも下げないといけません。
例えば、還元利回り(実質利回り)を4%と設定すると、年間の収益が100万円、年間経費20万とすると実質の年間収入は80万、物件の収益価格は同じ2,000万円になりますが、4.5%だと1,777万円となります。
この還元利回りの設定によって価格は大きく変わるのでこの還元利回りの設定がミソになるわけです。
本来この還元利回りのことをキャップレートと言います。
キャップレートとは?
キャップレートは、キャピタリゼーションレート(資本収益率)または還元利回りの省略語。
「リスクフリーレート+リスクプレミアム」で構成されます。
リスクフリーレートとは、主にカントリーリスクの低い国の国債または長期金利などを参考にしますが、日本では10年物国債利回りを使うと良いですね。
リスクプレミアムとは、リスクの高いとされる不動産に対して上乗せすべきレートです。
米国だとそのエリアのキャップレートが公表されており、簡単に調べることが出来ますが、日本の場合は、そこまで進んでいません。
そのため、ある程度そのエリアの期待利回りは熟知している不動産会社の営業マンにそのエリアの期待利回りはどのくらいかを聞くと良いでしょう。
物件価格の計算方法
そのエリアの期待利回り=還元利回りを元に物件価格を割り出します。
この辺りが我々不動産業者の腕の見せ所ですが、大阪市内、神戸などの物件であれば収益用の20㎡程度のワンルームだと実質利回りで5.0~5.5%以上は必要になります。
この間売却させてもらった物件は、神戸駅前ですが収入が6.5万円/月でしたので、経費を15万だとすると
計算式(78万-15万)÷0.055=1145万円となり、これ以下で買えれば割安と言えます。
収益物件を売り出す際に不動産会社と交渉する場合は、収益は決まってますので、この利回りを何%にするかになるわけです。
この利回りについては、周辺の家賃相場を確認すれば自分でもある程度調べることが出来ます。
家賃いくらの物件がどのくらいの価格で売り出されるか、それが分かれば利回りは出せますので、不動産会社がおかしなこと言っていないか見破ることが出来ます。
利回りが上がれば、物件価格は下がるので売り出す場合はいかに低い利回りで売れるかが鍵になります。
直接還元法は現時点での価格を割り出すのに有効
直接還元法は、その時点での価格を出すのには有効ですが、将来的な収益を検討する場合には、DCF法を使う方が有効です。
以前お話したDCF(ディスカウントキャッシュフロー)の貨幣の時間的価値、今の100万円は将来の100万円とは違うといった概念を理解をしないといけないのでかなり難しくなりますが、又の機会にゆっくりと解説したいと思います。
参照:DCF(ディスカウントキャッシュフロー)とは?預金はリスクになる?今の100万と将来の100万は同じ価値ではないという考え方。
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