どうも不動産職人です。
「23区のマンションはもう天井なのか」「円高が進んだけど、今買って大丈夫か」——最近そんなご相談が続いています。
先に結論をお伝えします。価格の底や天井を当てにいく必要はありません。相場ではなく、自分の手元で計算できる4つの数字を見れば、買っていいかどうかは判断できます。この記事では、最新データと為替の動きを踏まえ、その数字の見方を数字でお話しします。
この記事の要点(3行)
- 23区マンションは「暴落」ではないが「上昇一本調子」でもない。頭打ち感が出てきた。
- 円高が進み、これまで価格を支えた「円安×海外マネー」の追い風は弱まっている。
- 大事なのは価格予想の当てっこではなく、金利・返済比率・実質利回り・出口価格という「4つの数字」の再点検。
東京23区マンション価格は本当に頭打ちなのか
東京カンテイの先出しデータでは、23区の70㎡マンション価格が次のように動いています。
| 月 | 70㎡価格 | 前月比 |
|---|---|---|
| 5月 | 12,849万円 | — |
| 6月 | 12,741万円 | -0.8% |
| 7月 | 12,724万円 | -0.1% |
7月は前月比-0.1%でほぼ横ばい
正直にお伝えします。これは「下落局面入り」と断言できる数字ではありません。7月はほぼ横ばい圏です。
2カ月連続下落をどう見るべきか
一方で、右肩上がりの勢いが鈍り、頭打ち感が出てきたのも事実。整理すると「暴落ではない。ただし上昇一本調子でもない」——これが冷静な現状認識です。しかもこれは23区平均。エリア・築年数・駅距離で中身は大きく割れます。平均に安心せず、対象物件そのものの需給を見てください。
円高で何が変わるのか
足元では日米の協調介入が実施された模様で、ドル円は157円台まで円高が進みました。市場では8月下旬〜9月初旬に152〜153円という、さらなる円高進行を見込む声もあります。
海外投資家にとって日本不動産は「割高」になる
円高が進むと、海外マネー → 円高で日本資産が割高 → 海外資金の流入が鈍化、という流れになります。これまで都心価格を下から支えてきた「円安で割安に見える」という買い材料が弱まるわけです。
円安相場が価格を支えてきた背景
裏を返せば、直近数年の都心マンション高騰の一因は円安でした。その前提が揺らいでいる、というのが今回の論点です。
では円高だけで価格は下がるのか
ここは公平に。円高「だけ」で暴落する、とは言えません。建築費・人件費の高止まり、都心の供給不足、再開発——価格を下支えする要因はまだ複数あります。円高は上値を重くする方向に働きますが、暴落を約束するものではない。ここを冷静に切り分けることが大切です。
買い手が今チェックすべき4つの数字
ここが本記事の中心です。相場観ではなく、この4つを自分の数字として押さえてください。
① 住宅ローン金利——「価格」より「毎月いくら増えるか」
物件価格の数百万円の上下より、金利1%の差のほうが家計に効きます。1億円・35年・元利均等で試算すると、金利が上がったとき毎月返済はこう動きます。
| 借入 | 金利 | 毎月返済(概算) |
|---|---|---|
| 1億円/35年 | 0.7% | 約26.9万円 |
| 1億円/35年 | 1.2% | 約29.2万円 |
| 1億円/35年 | 1.5% | 約30.6万円 |
金利0.7%→1.5%で、毎月の負担は3.7万円ほど増えます。「今の金利で回るか」ではなく「上がっても持ちこたえられるか」で見てください。
② 返済比率(DSCR)——キャッシュフローで見る
投資なら、家賃収入に対して返済がどれだけ余裕を持って収まっているか(DSCR・返済比率)が生命線です。表面利回りではなく、返済・管理費・修繕・空室・税を引いた後の手残りで判断します。
③ 実質利回り——表面に惑わされない
「利回り8%」の広告も、経費と空室を引けば実質は大きく落ちます。管理会社の立場で言えば、空室が続いても資金繰りに余裕があるか、が本当の分かれ目です。
④ 出口価格——「買う時」ではなく「売る時」を先に計算
意外と誰も書きませんが、買う前に売る時を逆算します。
例:購入1億2,700万円 → 10年後に売却 → ローン残債・仲介手数料を差し引いて、手元に利益は残るか。頭打ち・円高の前提を織り込み、強気ではなく保守の数字で出口が成立するかを見る。ここが赤字なら、それはあなたの物件ではありません。
焦って判断するより「ストレステスト」
相場が読みにくい局面ほど、当てっこではなく耐久テストです。悪い方に振れても持ちこたえられるかを、事前に一枚の表で確認してください。
| 項目 | 現在 | ストレス想定 |
|---|---|---|
| 金利 | 0.7% | 1.5% |
| 空室率 | 5% | 10% |
| 売却価格 | 100% | 90% |
この3つが同時に悪化しても資金繰りが回るなら、相場がどちらに転んでも判断はぶれません。逆に、どれか一つで詰まるなら、条件の見直しか「今は見送る」が正解です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 23区マンションは今後、下落局面に入りますか?
現時点のデータは「暴落でも、上昇一本調子でもない」横ばい〜微減圏です。頭打ち感は出ていますが、下落局面入りと断言できる段階ではありません。
Q2. 円高が進むと不動産価格は下がりますか?
円高は海外マネー流入を鈍らせ上値を重くしますが、円高「だけ」で暴落はしません。建築費・人件費・供給不足・再開発が価格を下支えしています。
Q3. 変動金利と固定金利、どちらが有利ですか?
一概には言えません。大切なのは「金利が1%上がっても返済が回るか」。変動一辺倒を避け、繰上返済の余力を持たせる設計が安全です。
Q4. 表面利回りが高ければ買いですか?
表面利回りは経費・空室・税を引く前の数字です。実質利回りとキャッシュフロー(返済比率)で判断してください。
Q5. 買う前に何を計算しておくべきですか?
出口です。想定保有期間後に売却したとき、残債と諸費用を引いて利益が残るかを、保守的な価格で先に計算しておきましょう。
まとめ:価格予想より、資金計画を見直そう
23区は頭打ち感、為替は円高。これまでの追い風が弱まるいまこそ、価格予想の当てっこから卒業しましょう。
見るべきは、金利・返済比率・実質利回り・出口価格の「4つの数字」と、悪化シナリオでのストレステスト。これが腹落ちしていれば、相場がどちらに振れても判断はぶれません。
そして、その数字が今の物件で成立しないなら「今は買わない」も立派な戦略です。私たちのゴールは一件の契約ではなく、あなたの資産が10年後20年後に豊かであること。個別のシミュレーションが必要なら、いつでもご相談ください。
※70㎡価格は東京カンテイの先出しデータ、為替・介入に関する記述は2026年8月時点の市場報道に基づく参考情報です。返済額は概算で、実際の条件により異なります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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