どうも不動産職人です。
先日、こんな相談を受けました。
「5年前に買ったワンルーム、サブリースを外して普通の管理に切り替えたいんです」
理由を聞くと、周辺相場は月9万円まで上がっているのに、手元に入るのは7万円のまま。
差額は毎月2万円。
「解約したいと申し出たら、サブリース会社に断られました」
このご相談、本当に多いです。
そして残念ながら、多くのケースで「オーナー側が簡単には解約できない」というのが現実です。
理由は営業トークではなく、法律にあります。
この記事の要点(3行)
- サブリース契約ではオーナーが「貸主」、サブリース会社が「借主」になり、借地借家法の借主保護がサブリース会社側に働く
- そのためオーナーからの解約には「6か月前の申入れ」+「正当事由」が必要で、収益改善や管理会社変更は正当事由として認められにくい
- 賃料は下げられ、売却価格も融資評価も下がる。さらにサブリース会社の倒産リスクからも逃げられない。不動産職人としては、投資用ワンルームのサブリース付き物件は原則おすすめしません
そもそもサブリースとは何か
まず言葉を整理します。
サブリースは「一括借り上げ」「家賃保証」とも呼ばれます。
オーナーが所有する部屋を、サブリース会社が丸ごと借り上げる。
そしてサブリース会社が入居者に「転貸(また貸し)」する仕組みです。
このオーナーとサブリース会社の間の契約を「マスターリース契約」、法律用語では「特定賃貸借契約」と言います。
通常の管理委託と並べると、違いがはっきりします。
| 項目 | サブリース(一括借り上げ) | 管理委託 |
|---|---|---|
| オーナーの立場 | 貸主(サブリース会社に貸す) | 貸主(入居者に貸す) |
| 入居者との契約相手 | サブリース会社 | オーナー |
| 空室時の家賃 | 原則入る(免責期間を除く) | 入らない |
| 受け取る金額 | 実賃料の80〜90%程度が一般的 | 実賃料 −管理料(3〜5%程度) |
| 解約のしやすさ | 非常に難しい(借地借家法の制約) | 比較的容易(契約に基づき通知で可能) |
| 売却時 | 価格・融資評価が下がりやすい | 影響は限定的 |
| 管理の手間 | ほぼゼロ | 管理会社に委託すれば軽い |
ポイントは一番上の行です。
サブリースでは、オーナーは「入居者に貸している人」ではありません。
「サブリース会社に貸している人」です。
ここに、この記事の結論のすべてが詰まっています。
なぜサブリースは外せないのか
理由1:サブリース会社は法律上「借主」として保護される
借地借家法は、立場の弱い借主を守るための法律です。
大家さんの都合で簡単に追い出されないよう、借主に強い権利を与えています。
ところがサブリース契約では、その「借主」がサブリース会社になります。
つまり、本来は入居者を守るための保護が、法人であるサブリース会社に働くわけです。
相手は不動産のプロです。
この非対称性が、オーナーが苦しむ最大の理由です。
理由2:借地借家法27条・28条という壁
条文の全文は不要です。
押さえるべきは2点だけです。
借地借家法27条
貸主から解約を申し入れた場合、賃貸借が終わるのは申入れから6か月後。
借地借家法28条
その解約の申入れには「正当の事由」が必要。
条文の位置づけは国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイト(制度解説)からも確認できます。
問題は、この「正当事由」のハードルが非常に高いことです。
正当事由は、次のような要素を総合的に見て判断されます。
- 貸主・借主それぞれが建物の使用を必要とする事情
- これまでの賃貸借の経過
- 建物の利用状況や現況
- 補完要素としての立退料(財産上の給付)の申出
ここで多くのオーナーが期待する理由を当てはめてみます。
- 「利回りを上げたいから」→ 正当事由になりません
- 「他の管理会社に変えたいから」→ 正当事由になりません
- 「相場より安い賃料に納得できないから」→ それだけでは足りません
整理すると、こうなります。
| オーナーが挙げがちな理由 | 正当事由としての評価 |
|---|---|
| 利回りを上げたい・収益を改善したい | 認められにくい |
| 他の管理会社に変更したい | 認められにくい |
| 相場より賃料が安いことに納得できない | それだけでは不十分 |
| 契約書に解約できると書いてある | 要件は消えない |
| 自分や親族がその部屋に住む必要が生じた | 考慮される事情になり得る |
| 建物の老朽化で建替え・大規模修繕が必要 | 考慮される事情になり得る |
| 立退料(財産上の給付)を提示する | 他の事情を補完する要素 |
※いずれも最終的には個別の事情を総合して判断されます。
つまり、投資判断の見直しという「経済的な理由」は、ほぼ通らないということです。
理由3:契約書に「解約できる」と書いてあっても安心できない
これが一番刺さる話かもしれません。
「契約書に、6か月前に通知すれば解約できると書いてあります」
そう仰るオーナーは多いです。
しかし借地借家法は強行法規の性格を持ちます。
借主に不利な特約は無効になり得るため、契約書の文言だけで正当事由の要件が消えるわけではありません。
裁判で争えば、結局「正当事由はあるか」が問われます。
契約書の一行を、そのまま信用しないでください。
理由4:賃料は「下げられる側」に回る
サブリースの謳い文句は「家賃保証」です。
しかし保証されるのは「空室でも入金がある」ことであって、「金額が一生変わらない」ことではありません。
ここで重要なのが、最高裁判所平成15年10月21日の判決です。
この判決で、サブリース契約にも借地借家法32条1項(賃料増減額請求)が適用されることが確定しました。
つまり、サブリース会社の側から賃料の減額を請求できる。
契約書に「賃料は自動増額」と書いてあっても、経済事情の変動を理由とした減額請求までは排除できません。
判例の解説は不動産適正取引推進機構(RETIO)の判例紹介が参考になります。
「30年家賃保証」という言葉の実態は、ここにあります。
オーナーが損をしやすい3つのポイント
1. 受け取る家賃が実賃料の80〜90%になる
具体的な数字で見ます。
実際の家賃:月8万円
サブリース賃料:月7万円
差額は月1万円。
年間で12万円。
10年で120万円です。
これは「保険料」と考えれば納得できる金額かもしれません。
ただし、その保険が「途中で解約できない保険」であることは知っておくべきです。
2. 免責期間・再免責期間がある
契約直後や入居者の退去後に、サブリース会社が賃料を支払わない期間が設定されていることがあります。
これが「免責期間」です。
一般的には1〜3か月程度。
さらに厄介なのが「再免責期間」です。
入居者が退去するたびに免責期間が発生する契約になっているケースがあります。
入退去が多い物件では、想定より入金が少なくなります。
3. 売却価格と融資評価が下がる
投資用不動産の価格は、収益(家賃)から逆算されます。
サブリース付きの物件は、次のオーナーにとっても「手数料が引かれ続ける物件」です。
周辺相場9万円の部屋なのに、収益として計上できるのは7万円。
利回りが落ちれば、価格も落ちます。
現場では「オーナーチェンジの条件次第で2割近く価格が変わる」という指摘もあります。
さらに金融機関によっては、サブリース会社の手数料分を差し引いて融資評価を出します。
買い手が融資を組みにくくなれば、売却の選択肢そのものが狭まります。
出口が細くなる。
これは見落とされやすいコストです。
忘れてはいけない「サブリース会社が倒産するリスク」
ここまで、外せない・下げられる・売りにくいという話をしてきました。
しかし、もう一つ。
構造的にもっと怖いリスクがあります。
サブリース会社そのものが倒産するリスクです。
「家賃保証」の保証人は誰なのか
冷静に考えてみてください。
家賃を保証しているのは、誰でしょうか。
国でも保険会社でもありません。
一民間企業であるサブリース会社です。
つまりオーナーは、空室リスクを手放す代わりに、その会社の信用リスクを引き受けています。
会社が払えなくなれば、保証は紙切れになります。
実際に起きた「かぼちゃの馬車」問題
記憶に新しいのが、2018年のスマートデイズ(かぼちゃの馬車)の破綻です。
謳い文句は「頭金なしで投資でき、30年間の家賃保証、利回り8%」でした。
しかし実態の入居率は4割程度。
家賃収入だけではサブリース賃料を賄えず、建築会社からのキックバックで穴埋めする自転車操業だったとされています。
2018年、資金繰りが行き詰まり、オーナーへの賃料支払いが止まりました。
被害を受けたオーナーは700人以上、関連するローンの総額は1,500億円以上といわれています。
融資したスルガ銀行では、源泉徴収票の改ざんなど不正な融資審査も明るみに出ました。
2020年、被害者弁護団とスルガ銀行の間で、物件を手放せば残債を帳消しにするという解決が図られています。
ここで注目すべきは、破綻したのが「サブリース」という仕組みではなく、「支払い能力のない事業者」だったという点です。
そして契約時点では、オーナーからその見極めはほぼ不可能でした。
倒産したとき、オーナーに何が起きるか
| 論点 | 起こりうること |
|---|---|
| 未払いの賃料 | 破産手続開始前に発生した賃料は破産債権となり、配当で大幅にカットされることがある |
| 入居者の敷金 | サブリース会社が預かった敷金がすでに費消されている場合がある。返還を巡ってオーナーと入居者が対立することも |
| 入居者との契約 | マスターリース終了後、転貸借の扱いはケースにより異なる。入居者との直接契約への切り替え作業が必要になる |
| 入居者情報・鍵 | 契約書・入居者名簿・鍵の引き渡しが滞り、誰が住んでいるか把握できない事態も |
| ローン返済 | 賃料の入金が止まっても、金融機関への返済は待ってくれない |
倒産時の実務については、公益財団法人 不動産流通推進センターの解説が参考になります。
なお、賃貸住宅管理業法では、特定転貸事業者に対し業務状況調書や貸借対照表・損益計算書などの書類の閲覧を義務づけています。
契約前に相手の財務状況を確認する手段は、一応あるということです。
使わない手はありません。
一番の問題は「解約できない」と組み合わさること
ここが本質です。
倒産リスク自体は、どんな取引先にもあります。
問題は、サブリースの場合、その相手を自分の判断で切り替えられないことです。
- 経営が健全なうちに外そうとしても、正当事由がないので外せない
- 経営が怪しくなってきたと気づいた頃には、既に賃料の減額や滞納が始まっている
- 倒産してしまえば、混乱の後始末をオーナー自身が引き受けることになる
「リスクを手放したつもりが、逃げ場のないリスクを抱え込んでいた」
これがサブリースの最も厳しいところだと、私は考えています。
サブリース新法で何が変わったのか(誤解しやすい点)
2020年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、いわゆるサブリース新法が公布されました。
サブリースに関する規制部分は2020年12月15日から施行されています。
主な内容は次のとおりです。
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 誇大広告等の禁止(法28条) | 「家賃保証」等について、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示の禁止 |
| 不当な勧誘等の禁止(法29条) | 賃料減額リスクなど重要事項の不告知・不実告知の禁止 |
| 契約締結前の書面交付・説明(法30条) | 家賃減額の可能性、契約期間中の費用、解除の条件などを事前に書面で説明する義務 |
規制対象には、サブリース会社本体だけでなく、販売の際に勧誘を行う建設業者・不動産業者などの「勧誘者」も含まれます。
詳細は国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトとサブリース事業に係る適正な業務のためのガイドラインをご確認ください。
ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。
国土交通省は「不当な勧誘等の禁止」の解説の中で、故意に事実を告げない行為(事実不告知)の具体例として、次のような趣旨の内容を挙げています。
- 将来の家賃減額リスクがあること
- 契約期間中であってもサブリース業者側から契約解除される可能性があること
- 借地借家法の規定により、オーナーからの解約には正当事由が必要であること
- 維持保全・原状回復・大規模修繕等の費用をオーナーが負担する場合があること
- 新築当初の数か月間、借り上げ賃料の支払免責期間があること
これらを伝えずにメリットだけを説明する勧誘は、法違反となり得ます。
つまり「オーナーからは簡単に解約できない」というのは、私のような立場の人間の意見ではありません。
国が「必ず説明すべきリスク」として明示している事実です。
もし購入時にこの説明を受けた記憶がないなら、それ自体が問題である可能性があります。
そのうえで、必ず押さえていただきたい誤解があります。
サブリース新法は「契約を外しやすくする法律」ではありません。
新法が守ってくれるのは「契約する前の情報」です。
リスクをきちんと説明させる。誇大な広告を禁じる。
しかし、いったん契約を結んだ後の解約のしやすさについては、借地借家法のルールがそのまま生きています。
「新法ができたから安心」ではなく、「新法ができたからこそ、説明された内容を自分で読み込む責任がある」と考えてください。
消費者庁もサブリース契約に関するトラブルへの注意喚起を出しています。
現場で見てきた2つのケース
失敗例:出口で気づいたAさん
30代・会社員のAさん。
新築ワンルームをサブリース付きで購入。
購入時の説明は「家賃保証があるので何もしなくて大丈夫です」。
購入から6年後、住宅ローンを組む必要が出て、ワンルームを売却しようとしました。
ところが査定額が想定を大きく下回る。
理由は、サブリース賃料をベースに利回り計算されたためです。
サブリースを外してから売ろうとしましたが、サブリース会社は解約に応じません。
弁護士に相談したところ、「正当事由が認められる見込みは低く、立退料の交渉になる」との回答。
結局、Aさんはサブリース付きのまま、想定より低い価格で売却しました。
購入時の説明が悪かったのではありません。
「解約できるかどうか」を、購入前に誰も確認していなかったのです。
成功例:条件を読んで見送ったBさん
40代・地方在住のBさん。
都心のワンルームをサブリース付きで勧められました。
Bさんは契約前に、重要事項説明書の3か所だけを確認しました。
- 賃料改定の頻度(2年ごと)
- 免責期間の有無(初回3か月+再免責あり)
- オーナーからの解約条項(正当事由の記載)
そのうえで販売会社に一つだけ質問しました。
「過去に、オーナー側の申入れだけで解約できた実績はありますか」
明確な回答は返ってきませんでした。
Bさんはこの物件を見送り、翌年、管理委託方式で別の物件を購入しています。
判断を分けたのは知識量ではありません。
「契約書のどこを見るか」を知っていたかどうかです。
それでもサブリースが向いているケース
公平のために書きます。
サブリースが選択肢になり得るのは、次のような方です。
- 海外や遠方に住んでいて、管理会社とのやり取りすら難しい
- 相続で取得した物件で、当面売却も建替えも考えていない
- 本業が多忙で、入退去・滞納対応に一切関わりたくない
- 収益の最大化より、入金額のブレをなくすことを優先したい
共通しているのは「長期保有が前提で、出口を急がない」ことです。
逆に言えば、資産の入れ替えを想定した投資、つまり多くのワンルーム投資には向きません。
契約前に必ず確認する8項目
保存しておいてください。
- □ 解約条項 — オーナー側から解約する条件と、正当事由の扱いはどう書かれているか
- □ 賃料改定 — 改定の頻度、減額の可能性、改定を拒否した場合の扱い
- □ 免責期間 — 初回の免責は何か月か。再免責はあるか
- □ 契約期間と更新 — 自動更新か。更新拒絶の条件は
- □ 原状回復・修繕の負担 — どこまでがオーナー負担か
- □ 売却時の承継条件 — 買主にサブリース契約を引き継がせる義務があるか
- □ 契約終了時の権利義務の承継 — サブリース会社が倒産・撤退した場合、入居者との契約や敷金はどう扱われるか
- □ 相手方の財務状況 — 業務状況調書・貸借対照表・損益計算書を閲覧させてもらえるか
このうち一つでも「口頭で大丈夫と言われた」ものがあれば、契約は待ってください。
書面に書かれていないことは、後から主張できません。
判断に迷ったら管理会社に相談してください
不動産会社に相談すると、どうしても「売る側」の説明になります。
一方、管理会社は物件を売る立場ではありません。
日々、オーナー様から「サブリースを外したい」というご相談を受けている側です。
だからこそ、次のようなことをお伝えできます。
- その契約書の条項が、実務上どれくらい厳しいものか
- そのエリアで、管理委託にした場合の想定入居率と実質手取り
- サブリースを外さずに収益を改善する現実的な選択肢
- 売却する場合、サブリース付きでどこまで価格が変わるか
購入を検討している段階でも構いません。
むしろ、契約前にご相談いただけるのが一番です。
契約書のコピーを一度お持ちください。
「この条項でいいのか」を、売る立場ではない人間の目で見ることに意味があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. サブリース契約は絶対に解約できないのですか。
絶対に不可能ではありません。
サブリース会社が合意すれば解約できますし、賃料の不払いなど契約違反があれば解除できる場合もあります。
ただし、オーナー側の都合による一方的な解約は、正当事由が必要で難易度が高いのが実情です。
Q2. 立退料を払えば解約できますか。
立退料(財産上の給付)は正当事由を補完する要素の一つです。
金額だけで解決するものではなく、他の事情と合わせて総合判断されます。
金額の相場も物件やケースによって大きく異なります。
Q3. 契約更新のタイミングなら外せますか。
更新を拒絶する場合も、借地借家法28条の正当事由が必要です。
自動更新の特約がある契約も多く、「更新時なら自由に外せる」とは考えないでください。
Q4. サブリース会社から賃料の減額を求められました。応じる義務はありますか。
自動的に応じる義務はありません。
協議し、合意できなければ最終的には調停や裁判で相当賃料が判断されます。
ただし最高裁の判断により減額請求自体は認められているため、「一切下がらない」という前提は成り立ちません。
Q5. サブリース付きのまま売却できますか。
できます。
多くは投資用としてオーナーチェンジで売却されます。
ただし収益が低く見えるため価格が下がりやすく、買主の融資評価にも影響します。
Q6. サブリース新法があるから、悪質な契約はもうないのでは。
新法により誇大広告や不当な勧誘は禁止され、契約前の重要事項説明も義務化されました。
しかし、説明さえ適正に行われていれば、オーナーに不利な条件の契約自体は締結できます。
説明を受けたうえで、内容を判断するのはオーナー自身です。
Q7. 新築ワンルームで「35年家賃保証」と言われました。
保証されるのは支払いの継続であって、金額ではありません。
賃料改定の条項を必ず確認してください。
Q8. すでにサブリース付きで購入してしまいました。どうすればいいですか。
まずは契約書の解約条項・賃料改定条項・売却時の承継条件を確認してください。
そのうえで、「外す」「保有し続ける」「サブリース付きで売る」の3つを、数字で比較することをおすすめします。
管理会社に実質手取りの試算を依頼するのが早道です。
Q9. サブリースと管理委託、手取りはどれくらい違いますか。
サブリースは実賃料の80〜90%程度、管理委託は管理料が実賃料の3〜5%程度が一般的です。
実賃料8万円なら、サブリースで7万円前後、管理委託で7.6万円前後。
差額は空室リスクを引き受けてもらう対価と考えることになります。
Q10. 大手のサブリース会社なら倒産の心配はないのでは。
規模が信用力の目安になるのは事実です。
ただし「かぼちゃの馬車」の件でも、契約時点でオーナーが事業の実態を見抜くことは困難でした。
重要なのは、倒産しないと信じることではなく、倒産した場合に何が起きるかを契約書で確認しておくことです。
詳しくは本文の「サブリース会社が倒産するリスク」をご覧ください。
Q11. 「勧誘者」とは誰のことですか。
サブリース会社本体だけでなく、販売や建築請負の際にマスターリース契約の締結を勧める不動産業者・建設業者なども含まれます。
つまり、物件を売った会社も規制の対象です。
Q12. 説明されていないリスクがあった場合、どこに相談できますか。
国土交通省が「申出制度」を設けており、特定賃貸借契約の違反行為について情報提供を受け付けています。
まずは契約書と重要事項説明書を手元に揃えてください。
Q13. 中古のオーナーチェンジ物件を買う場合も注意は必要ですか。
必要です。
前オーナーが結んだマスターリース契約が、そのまま引き継がれる条件になっているケースがあります。
購入前に、契約の承継条件と解約条項を必ず確認してください。
まとめ
サブリースの是非は、「得か損か」では判断できません。
判断すべきは「解けるかどうか」です。
一度結んだ契約が、法律によってオーナー側から解きにくくなる。
そして賃料は下げられる可能性があり、売却価格と融資評価も下がる。
これらは業者の善し悪しではなく、制度の構造から生じるものです。
不動産投資は、買った瞬間ではなく売った瞬間に成績が決まります。
その出口を自分でコントロールできない契約を、あえて選ぶ理由があるでしょうか。
不動産職人としての結論は、投資用ワンルームのサブリース付き物件は、原則として購入をおすすめしない、です。
この記事の要点(再掲)
- サブリースではオーナーが貸主・サブリース会社が借主となり、借地借家法の借主保護が業者側に働く
- オーナーからの解約には6か月前の申入れと正当事由が必要で、収益改善や管理会社変更は正当事由になりにくい
- 賃料減額リスク・売却価格の下落・融資評価の低下に加え、サブリース会社の倒産リスクまで抱え込むことになる
契約書を前に迷っているなら、判を押す前にご相談ください。
その一手間が、10年後の数百万円を守ります。
参考:公的機関の情報
- 国土交通省|賃貸住宅管理業法ポータルサイト(サブリース業者・オーナー間の適正化のための措置)
- 国土交通省|サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン(PDF)
- 国土交通省|賃貸住宅管理業法 制度解説
- 消費者庁|サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!
- 国土交通省|賃貸住宅経営(サブリース方式)をお考えの方へ 注意喚起リーフレット(PDF)
- 国土交通省|特定賃貸借標準契約書(PDF)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)|サブリース関連判例
- 公益財団法人 不動産流通推進センター|サブリース業者の倒産による直接契約への切り替えの方法
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律判断を行うものではありません。実際の契約内容の判断や紛争については、弁護士等の専門家にご相談ください。


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