どうも不動産職人です。
1月は結構忙しかったので中々更新できませんでしたが、ここにきてアルヒ(ARUHI)の融資資料改ざんのニュースが話題となってますね。ネタ元は日経新聞。
記事はこちら 日経新聞記事:投資用マンション融資で書類改ざん
実際に審査、融資を行っていたのはアプラスですが、その取次を行っていたのがアルヒです。実際に問題があったのは2店舗だったようですが、今回の騒動でアプラスがアルヒ経由での新規融資を止めたというニュース報道があり、アルヒ株が急落しています。
私も以前いた会社ではアルヒで融資を受けてもらってたこともあったので他人ごとではないなと思って記事を読んでおりました。
アルヒのプレスリリースでは、フランチャイズ店の出来事ということで、アルヒ自体は審査をせずに取り次ぎのみなので関わりないという感じです。続ではフランチャイズ店が主体になってやったものではないと強調しています。
【アルヒのプレスリリース】
狙われたのは、住宅ローン改ざんスキームでターゲットにされた年収300万以下、無職の人たち。
基本的には、スルガ銀行の改ざん問題と一緒なので、スルガスキームで稼ぎまくった不動産業者の残党が今回の問題も絡んでいるのではないかと思っています。
今回はアルヒの融資改ざん問題について少し記事を書いてみたいと思います。
アルヒ融資改ざんの手口とは
今回のアルヒ融資改ざんの手口は、スルガスキームで行われた融資資料の改ざん手口以上に悪質な感じです。
実施にどういった改ざんが行われたのか詳しく解説していきたいと思います。
アルヒ(ARUHI)ってどんな会社
今回、融資資料改ざんによる不正融資の舞台となったアルヒ(ARUHI)は、元々住宅ローンをメインにしていた会社で、前身はSBIモーゲージで住宅ローン専門金融機関の最大手です。
全国150店舗以上の対面型店舗網やWebなど、マルチチャネルで多彩な住宅ローン商品の貸出・取次業務を行う会社である。フラット35の取り扱い実績では実行件数において8年連続シェアNo.1を続けている
出典:ウィキペディア
主にフラット35を取り扱っており、なかでも「ARUHIスーパーフラット」という独自の低金利ローンが人気です。ARUHIスーパーフラットは一般的なフラット35よりも金利が低く、「低金利で、完済まで金利を固定できる」のが特徴です。
業界最低金利水準と自営業や転職したてでも融資が通りやすいということもあり、フラット35の取扱いにおいてはシェアNO1に君臨しつづけています。
そのアルヒですが、投資物件、とりわけ区分マンション向けにアパートローンを展開するようになり、今回そのアパートローンで問題がありました。
私も区分ワンルームマンションの売買で利用してましたが、2017年ごろは旧耐震でも融資してくるということで非常に重宝しておりました。
2018年後半くらいから旧耐震の取り扱いを止めて、それを境にそれまで年収500万以上あれば2000万~3000万程度の枠がありましたが、少しづつ厳しくなっていきました。
その後、私の方は収益の売買を離れたので詳しくはわかりませんが、一時期金利が下がったなどと言う話も聞いたりしてました。
そして、2019年には、フラット35を使って収益物件を購入している事例があったということでニュースになりました。
参考記事:フラット35を活用した不動産投資にメスが!「なんちゃって」では済まされない!
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融資資料改ざん手口とは
アルヒは投資目的で区分マンションを買いたい人を新生銀行グループの信販会社アプラスに仲介して、手数料を得ています。
そのため、アルヒ自体は審査をすることはなく、実際に私も面談の場に立会いましたが、必要書類を確認してアプラスにFAXするだけです。
今回ターゲットになったのは、年収300万以下または無職の人たちです。
こういった収入が少ない、又はない人達を勧誘し、源泉徴収票などを改ざんして年収を改ざんしてアルヒ経由でアパートローンでマンションを買わせていたというわけです。
アルヒの仲介でアプラスから融資を受けた都内の女性(50代)。物件購入時に無職だったにもかかわらず、架空の会社に勤務していることにされ、アルヒへの融資の申込書には年収562万円と記されていた。
「家賃保証のサブリース契約だから、入居者の有無にかかわらず賃料が安定的に入ってくる。デメリットは何もなく予備知識も必要ない。断る理由がない」。都内の別の女性(20代)は不動産販売業者から執拗な勧誘をうけた。2018年に東京・練馬の1Kのマンションを3000万円弱で買った。
この20代女性は18年当時に書いた申込書を見せてくれた。「ARUHI提携型サポートクレジット『残債型』」という名称で、融資の申込先はアプラスになっている。不動産業者の指示に従って必要な事項を書き込んでいった。購入した後、アルヒ経由でアプラスに渡った審査書類の開示を求めると、前年の年収を示す源泉徴収票の年収欄は実際の260万円ではなく、水増しされた650万円という数字が記載されていた。
日経新聞記事より
アルヒを使ってアプラスで融資を受ける場合、金利が高く、融資期間が最長25年と短いですが、その分年収が低くても貸してもらえるという点が魅力ですが、年収300万以下では3000万の融資は難しいので今回改ざんを行ったと思います。
収益物件への融資でいうと、区分ワンルームマンションは金額が少ないこともあり、融資もそんなに厳しくなく、源泉徴収票もコピーでよかったと思うので、正直やりたい放題だったと言えます。
勧誘の際には、不動産投資の負の部分と思われているサブリース契約で家賃保証を謳い、安心させる手口はシェアハウスかぼちゃの馬車事件と同じですね。
元々収入の少ない人たちなので、サブリース期間中は支払いできますが、サブリース期間が終わり家賃収入が途切れるとたちまち破綻です。
今回は、サブリース賃料を相場より高い金額で設定されているケースも多く、その金額をベースに相場よりも500万~1000万くらい高い金額で物件を購入させていると思われるので、まあ計画的な犯行と言っていいでしょう。
今回も3為で売却時に相場との差額を大きく抜いていると思われます。
なので、ある程度経ったらサブリース契約を切ってハイさよならとなって問題が一気に爆発したんでしょうね。
多くの借り入れ希望者は転貸業者とのサブリース契約で安定した家賃収入を「保証」されて物件を買っていた。ただ、買ってから2年もたたずにサブリース契約は一方的に打ち切られたり、約束された家賃の半分程度しか手にできなかったりする人が相次いでいる。周辺相場を大きく上回る値段で物件を買っている例もあり、サブリース契約を解消されれば、ローンの返済に行き詰まりかねない。「サブリース会社から管理会社が変更になるとの連絡があった。いつ家賃の振り込みが途絶えるか心配だ」。東京・練馬の1Kマンションを買った20代の女性は日本経済新聞の取材にこう語った。
マンション所有者の代理人をつとめる、わたなべ法律会計事務所(東京・千代田)の加藤博太郎弁護士によると、審査資料の改ざんがあったのはアルヒの神奈川県内の2つの店舗に集中しているという。この2店舗はアルヒの直営ではなく、フランチャイズ店舗だ
日経新聞記事より
スルガスキームの残党の仕業か?
手口が似ていることから日経新聞でもスルガ銀行で荒稼ぎした悪徳業者が、次のターゲットとして低所得者に目を付けたのではないかと書かれています。
正直詐欺集団と同じなので、どこかで犯罪者として捕まえない限り、スキームを変えて又同じような問題が起こるでしょう。
勤務先が発行した源泉徴収票の改ざんは私文書偽造、自治体が発行した課税証明書の改ざんは公文書偽造にあたる。こうした書類をもとに融資を不正に引き出したとなれば、詐欺に問われる可能性もある。無職や低所得の人にリスクの高い投資用マンションの売買契約を結ばせていること自体、金融商品取引法が求める「適合性の原則」にも反する。
投資用不動産向け融資をめぐっては、18年にスルガ銀行で行員らが審査資料を改ざんしたり、契約書を偽造したりする組織的な不正行為が発覚した。アパートの施工、管理を手がけるTATERUでも審査資料の改ざんが見つかった。スルガ銀行の不正融資を機に金融庁が調査に乗り出し、銀行の投資用不動産向け融資は下火になりつつある。
ただ、アルヒのフランチャイズ店の仲介案件で起きた不正行為で浮かび上がるのは、スルガ銀行問題の後の融資縮小で行き詰まった悪質な不動産業者が、億円規模の1棟物件からワンルームといった区分マンションの販売に流れ、荒稼ぎしている構図だ。投資用不動産向け融資をめぐる不正行為は底が見えない。
日経新聞記事より
不動産投資の知識を身につけないと又騙される
今回の事件もかぼちゃの馬車、スルガスキームといったスルガ銀行問題のときと全く同じ手口です。
何度も言ってますが、「不動産投資に対する知識があれば避けられました」。
物件を購入するなら、最低限そのエリアの賃料相場くらいは調べるべきですし、これだけサブリースが問題になっているのに未だに家賃保証してくれるなら安心と思っているのは問題だと思います。
私も事あるごとに、物件買うならまずは最低限の知識を身につけてからと書いてますが、楽して儲けたいという人が多いんでしょうね。
不動産投資は、そんな簡単に儲けられるものではなく、収益が上がるまで時間も掛かります。
それだけ分かっているだけでも、この話おかしいと気付くはずです。
後は信用できる不動産業者を見つけることです。
中々見つけるのは難しいですが、最近は顧客重視の良質な不動産会社も増えてますので、セミナーに参加するなどして、自分に合った探してみてください。
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