どうも不動産職人です。
不動産投資をせっかくやるなら失敗して遠回りして欲しくない!
不動産投資の基礎5回目はレバレッジ効果についてお話いたします。
やはり、不動産投資が他の投資と違うのは、金融機関のお金を借りて、少ないお金で大きな投資できる「レバレッジ効果」が活用できること。
資産を拡大していく上では、レバレッジ効果は欠かせません。
しかし、効率を追求し過ぎて、高いレバレッジを掛けると逆にリスクを高めてしまうことになります。
レバレッジを制する者が不動産投資を制すと言っても良いでしょう。
それでは、レバレッジについてお話をしていきます。
レバレッジ効果とは
レバレッジ効果とは、てこの原理のことで、少ない力で大きな力を得ることです。
投資で言うと、少ないお金でお金を借りて大きな取引をすることで、より効率的な収益を得ることになります。
レバレッジ効果は、株式投資やFX投資などでも使うことが可能ですが、不動産投資のレバレッジ効果とどう違うのでしょうか。
株式投資と不動産投資のレバレッジの違い
株式投資場合は、信用取引においてレバレッジをかけることが可能です。
信用取引では、口座の自己資金や所有株の約3.3倍まで株式を購入することができます。
FXで証拠金の約15倍。
私もFXで高倍率で信用取引しましたが、100万が1日で溶けた経験があり、本当に怖いなという印象があります。
株式投資の場合は、自己資金を信用としてお金を貸してもらうという感じです。
対する不動産投資のレバレッジは、自己資金だけでなく、自己の信用と物件を担保にお金を借りることになります。
銀行も物件を担保に取れるということで、数百万~数千万の借入が可能です。
少し前に「高速不動産投資」という手法が流行りましたが、その手法は、レバレッジを最大限に活用し、とにかく自己資金を温存して、フルローンで物件を買いまくって規模を拡大するというものでした。
わずか1000万くらいの自己資金で、資産総額数億以上なんていうメガ大家・ギガ大家が誕生しました。
これが不動産投資のレバレッジ効果の威力です。
株式投資では、1000万で借りれるのはせいぜい3000万ですが、不動産投資ではその数十倍のお金を借りることが出来るのです。
株式投資と不動産投資のレバレッジの違いは、株式投資では、自己資金のみが信用となりますが、不動産投資では、物件を担保により多くのお金を借りることができることにあります。
レバレッジの効果を理解しよう
次は、実際に不動産投資のレバレッジ効果の仕組みについてお話していきたいと思います。
不動産投資では、現金で購入するのは限界がありますので、銀行などの金融機関から借り入れを行って物件を購入します。
ここでどういった条件で借入をするかでレバレッジ効果は変わってきます。
正のレバレッジ
まずは、純粋にレバレッジ効果がある状態、正のレバレッジの仕組みについて勉強していきましょう。
正のレバレッジとは、お金が効率よく働いてくれている状態です。
レバレッジ+(プラス)という場合もあります。
例えば、100万円の自己資金を使って、1000万の物件を購入するとします。
利回り10%で年間収入は100万。借入の条件は、金利2%、期間30年、借入金額900万。
返済額は、約40万円です。
ここで、キャッシュフローツリーを作成します。
キャッシュフローツリーを知らないという方は下記で勉強してください。
【不動産投資の基礎】不動産投資を始めるならまずはキャッシュフローツリーを理解しよう
<キャッシュフローツリー>
総潜在収入(GPI) 100万
▲空室損等 5万
―――――――
実効総収入(EGI) 95万
▲運営費(OPEX) 20万
―――――――
営業純利益(NOI) 75万
▲年間返済額(ADS) 40万
―――――――
税引き前キャッシュフロー(BTCF) 35万
全額現金で購入した場合は利回りは10%ですが、今回は100万を使って35万の自己資金を得ているということで、利回りは35%にアップ。
これがレバレッジ効果、てこの原理が効いている状態というわけです。
せっかく融資を使って不動産投資をするなら、通常はレバレッジは正の状態を目指すことになります。
負のレバレッジ
同じように銀行借り入れをやって不動産投資をやっても、税引き前キャッシュフロー(BTCF)がマイナスになるケースもあります。
では、先ほどと同じ条件の物件を購入したとします。
今回は、借入条件が金利2%、期間10年、借入金額900万。
返済額は、100万。
<キャッシュフローツリー>
総潜在収入(GPI) 100万
▲空室損等 5万
―――――――
実効総収入(EGI) 95万
▲運営費(OPEX) 20万
―――――――
営業純利益(NOI) 75万
▲年間返済額(ADS) 100万
―――――――
税引き前キャッシュフロー(BTCF) -25万
今回は、利回り10%よりも自己資金利回りは大きくマイナスになってしまいました。
日本政策金融公庫なんかで借入すると借入期間がこのくらいになるので、正のレバレッジは非常に難しいかなと思います。
ただ、負のレバレッジが悪いというわけではなく、実際に収益が上がる物件であれば売却時に元本返済部分が返ってきますので、最終的には利益を得ることが出来ます。
詳しい仕組みについては下記の記事をご参照ください。
負のレバレッジ(逆レバレッジ)でも融資を使って不動産投資をするのはなぜ?
K%を使ったレバレッジ判定
レバレッジの仕組みは理解していただけたと思います。
ここで、前回使ったK%を使ってレバレッジ判定する方法を紹介します。
キャッシュフローツリーを使うと簡単にレバレッジ判定が出来ます。
これが投資分析することの強みですね。
K%は、借入残高に対して、年間返済額がどの程度の割合を占めるかを表す指標です。
K%については、下記の記事をご参照ください。
【不動産投資の基礎/投資分析】レバレッジ判定など投資判断に影響を与えるK%(ローン定数)とは?
先ほどの正と負のレバレッジのキャッシュフローツリーを使ってみていきましょう。
<正のレバレッジのキャッシュフローツリー>
総潜在収入(GPI) 100万
▲空室損等 5万
―――――――
実効総収入(EGI) 95万
▲運営費(OPEX) 20万
―――――――
営業純利益(NOI) 75万
▲年間返済額(ADS) 40万
―――――――
税引き前キャッシュフロー(BTCF) 35万
ここで実質利回りFCR(=NOI÷(物件価格+購入諸経費)×100)、自己資金利回りCCR(=BTCF÷自己資金×100)、K%を計算します。(購入諸経費を100万とする)
CCR=35万÷100万×100=35%
K%=40万÷900万=4.44%
K%<FCR<CCRという結果となりました。
この状態であると、レバレッジは正と判定出来ます。
<負のレバレッジのキャッシュフローツリー>
総潜在収入(GPI) 100万
▲空室損等 5万
―――――――
実効総収入(EGI) 95万
▲運営費(OPEX) 20万
―――――――
営業純利益(NOI) 75万
▲年間返済額(ADS) 100万
―――――――
税引き前キャッシュフロー(BTCF) -25万
FCRは正のときと変わりませんがCCRとK%の値は変わります。
CCR=-25万÷100万×100=-25%
K%=100万÷900万=11.1%
K%>FCR>CCRという結果となりました。
この状態であると、レバレッジは負と判定出来ます。
今回は極端な例を挙げたのでCCRが-25%となりましたが、利益が出ていても借入条件によってはレバレッジは負となります。
このように、キャッシュフローツリーを使えば、簡単にレバレッジ判定が出来ます。
レバレッジのリスク
上手く使えば、レバレッジ効果は効率よく投資をすることが出来ます。
しかし、利益を追求しすぎてハイレバレッジをかけるとリスクは高くなります。
レバレッジと上手く付き合うことが、不動産投資成功の秘訣とも言えます。
レバレッジのリスクとは
不動産投資では、究極に言うと諸費用なども出してくれるオーバーローンを使えば、自己資金ゼロで不動産を購入することが出来ます。
その場合のレバレッジは無限大です(笑)
実際には、オーバーローンで正のレバレッジを出そうと思うと余程収益性の高い物件しか難しく、利益が薄くなる分リスクも上がります。
初心者のうちは、こういったハイレバレッジの投資は避けた方が良いかなと思いますが、資産を拡大したいと思うと、ある程度レバレッジをかけてリスクを負う必要が出てきます。
ハイレバレッジの状態は、簡単にいうと少ない自己資金で最大限借り入れを行ってる状態です。
キャッシュフローが非常に薄い状態と言えます。
先ほどもお話しましたが、以前流行った光速不動産投資では、利回りが高く、積算価格の出る地方の築古RC物件がターゲットになりました。
しかし、最初は物件もある程度選定していたと思いますが、買うことが目的となり、不動産会社の言われるままに物件を購入し、悲惨な目に会った人がいます。
それが、スルガスキームですね。
ここでは、利回りを高く見せるために、「レントロールの改ざん」や空室をカーテンで誤魔化す「カーテン行きます」といったテクニックが駆使されました。
ここで問題なのが、やはり実際の利回りと改ざんされた利回りの差です。
改ざんされて高く設定された利回りを元に、フルローンでギリギリの収支で走っていき、それを物件の数でカバーするという感じになるわけですが、いざ運営するとそう上手くはいきません。
空室が埋まらなかったり、空室が埋まっても家賃が大幅に減額となれば、最初の想定収支よりもドンドン下がり、正のレバレッジだったはずが、負のレバレッジに。
きちんと収益が上がる物件であれば、売却価格も変わらず売れるのでプラスになるのですが、家賃が下がると物件価格は当然下がるので、売却してもマイナスになってしまいます。
更に、中古物件ですから大規模修繕工事なんかも重なってくるともうお手上げ。そうなると物件を手放すか、最悪は自己破産といった結果に。
ハイレバレッジを掛ける場合は、本当にその物件が長期的に収益性を上げることが出来るのか、きちんと見極められるかが重要になります。
レバレッジと上手く付き合おう
そうは言っても、レバレッジを有効に使うことは不動産投資では必須です。
レバレッジと上手く付き合って勝ち組になるためには、やはり投資分析を行い、長期的に収益性を確保できる物件かどうかをチェックする力を身につけることが大事です。
不動産投資は、仕組みさえ理解すればそんなに難しい投資ではありません。
皆さんもこのサイトで不動産投資の勉強していただき、成功への道を歩んでいただければと思っております。
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