囲い込みと知らずに囲い込みをしてる営業マンは多い?売主のデメリット、不動産業者が囲い込みするリスクとは?

コラム


どうも不動産職人です。

先日、某大手不動産会社S不動産販売に専任媒介を依頼されている売主さんから、「中々売れないので査定をしてほしい」と言われて、レインズを確認したところ、レインズに掲載ないことが発覚。

宅建業法上、専任媒介の場合は、7営業日以内にレインズ等の指定不動産流通機構への登録義務があり、登録しない場合は宅建業法違反になります。

これが発覚したら大変なことですから、S不動産販売さんも焦ったのでしょう。売主さんがクレームを入れた1時間後にはレインズに情報が上がってました(笑)

とは言え、いつ登録しかも残るわけですし、掲載されてない時のスクショもあるわけですから言い逃れはできません。

私もそりゃ出来れば両手取引して売主、買主から手数料をもらって「2倍、2倍(古い)」になれば嬉しいですが、法律で決まっている以上最低限レインズへの登録はしないといけません。

しかし、twitterでは、「基本、1ヶ月位は載せないのでは? 或いは商談中バリア張りますよね 売れそうなものは。」というご意見もいただきましたので、囲い込みをするリスクが不動産業者にどれだけあるのかを知っておいてもらった方良いかなと思って記事にしました。

このレインズに登録する義務など「囲い込み」とは何か、「囲い込み」されることで売主にどんなデメリットがあるか、不動産業者のリスクについてお話したいと思います。

両手取引と囲い込み

日本の不動産業界は世界では珍しい、売買仲介において両手取引」が可能な国です。両手取引とは、売主、買主それぞれを一社の不動産会社が仲介する取引のことで、不動産会社としては1回の取引で仲介手数料が倍になりますので、この取引を狙う訳です。

権利関係のはっきりしている海外では、基本売主、買主にそれぞれエージェントがついて、それぞれ交渉を行う訳ですが、日本ではこの辺が曖昧になっており、両手取引しても良いとなってます。

この両手取引をしているのは、大手が多いという特徴があります。

三菱不動産リアルティで57.53%、住友不動産販売で62.75%、近鉄不動産61.53%とやっぱり関西系は儲からな仲介せんというところでしょうか(笑)

大手はそれだけ買い手を見つける力もあるので、よい買主を見つかれば売主も別に文句をつけることもありません。

大手不動産会社の不動産売買の「両手比率」を試算(2018年最新版)
企業名 両手取引比率 手数料率
 三井不動産リアルティグループ(三井のリハウス) 57.53% 5.10%
 住友不動産販売 62.75% 5.27%
 東急リバブル 28.79% 4.17%
 野村不動産グループ 21.94% 3.95%
 三井住友トラスト不動産 26.11% 4.09%
 三菱UFJ不動産販売 24.33% 4.03%
 みずほ不動産販売 21.73% 3.94%
 三菱地所リアルエステートサービス 26.61% 4.10%
 大京グループ 42.14% 4.61%
 大成有楽不動産販売グループ 33.12% 4.31%
 住友林業ホームサービス 42.17% 4.61%
 東宝ハウスグループ 42.80% 4.63%
 大和ハウスグループ 23.02% 3.99%
 スターツグループ 37.83% 4.47%
 近鉄不動産 61.53% 5.23%
 長谷工リアルエステート 28.16% 4.15%
 日本土地建物販売 19.65% 3.88%
 三菱地所ハウスネット 19.60% 3.88%
 ポラスグループ・中央住宅 53.37% 4.97%
 小田急不動産 37.30% 4.45%
 すてきナイス(連結) 23.84% 4.01%
 京王不動産 37.32% 4.45%
 朝日住宅 35.06% 4.38%
 相鉄不動産販売 53.64% 4.98%
 京急不動産 3.83% 3.36%
 センチュリー21・ジャパン 44.63% 4.69%
 イエステーション 67.55% 5.43%
※ 住宅新報WEB「主要流通各社の16年度仲介実績」のデータ(2018年3月期)を基に作成。取扱高順に掲載。手数料率は、手数料収入を取扱高で割ったもの。東京建物不動産販売、MEgropuは、法人取引などの大型物件が多いなどの理由により、手数料利率が3.24%から6.48%に収まっていないため、除外した。

【出典:2018年6月1日公開(2019年6月5日更新)ダイヤモンド不動産研究所 大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?!住友不動産販売の「両手比率」は62.75%!不動産売却時は、「両手比率」が高い会社に注意を【2018年最新データ】】

【参考記事】大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?!住友不動産販売の「両手比率」は62.75%!不動産売却時は、「両手比率」が高い会社に注意を|不動産を高値で売却する方法[2019年]|ダイヤモンド不動産研究所

では、両手取引を成立させるために不動産会社は何をするか。

それが「囲い込み」という行為なんですね。

囲い込みの例

囲い込みには、前出したように専任媒介で預かっているのにレインズに載せない、(うーんこれは業法違反になるのでさすがに見たのは久しぶりですが(笑)水面下でやるなら普通は一般媒介にしてやるんですけどね)商談がないのに商談中とする。(これはレインズに商談中という項目を設けて防ごうとしてますが、まあ意味がないかな)

あと、これは違反ではありませんが、他社に一切広告させないというのも広義の意味では他社に紹介させにくくする行為なので囲い込みと言えるかもしれません。

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囲い込みによる売主デメリット

売主さんのデメリットでいうと、レインズに掲載されないことや商談中とされることで、本来買いたい人に情報が行きわたらないこと。
それによって売却の機会を逃すというのが大きいと思います。
大手が多いと言いましたが、街の不動産屋さんも専任でレインズに載せない例もあり、巷で横行していると言えます。
これを防ぐには専任媒介を結んだ場合、レインズに7営業日以内に登録する義務があるということ、登録したら登録証明書が発行されることを知っておくことです。
この登録証明書があれば自分でレインズにどういった内容で登録されているか閲覧が可能です。
(詳しくはこちらをご参照ください https://system.reins.jp/common/sell_request.pdf

囲い込みがバレタ時の業者のリスク

正直囲い込みがバレタからと言って、業法違反していなければ大きな問題とはなりませんし、最悪買取でもすれば事は丸く収まりますが、売主を裏切る行為には間違いありません。
しかし、あんまり社内でも厳しく言われないんでしょうか。法律にかかわることなので、例え宅建持ってない営業マンでも知っていて当たり前で知らないのは罪です。
(そういった意味でも不動産の営業マンは宅建必須にしてくれると取得者はプレミア感出てうれしいんですが。)
専任の場合のレインズ未登録は業法違反なので、最悪の場合は、<国土交通省の監督|具体的内容と対象行為|抜粋> 宅建業法65条1項、2項によると、あ 行政指導 強制的な効果がない改善の要請 い 行政処分 ア 指示処分 イ 業務停止処分 の対象になります。
前述したように、1か月くらい載せないの当たり前という考え方は、下記の記事によると会社はもちろん担当者も処分される可能性もあります。
不動産業界での「囲い込み」の違法性を問う(2) 担当者も免責にはならないー三平聡史弁護士に聞く (2015年9月25日) – エキサイトニュース
一時の数字のために、業法違反に引っかかるようなことはやめておいた方が良いかと思います。

何故囲い込みが横行するのか

アナログ好きな人が多い不動産業界。この間もtwitterで電話とFAXで数億円の仲介してますなんて話もありましたが、正直業界全体がナアナア状態。
キチンとやっている会社もあり、専任媒介契約を締結したら台帳に記載して、いつレインズに登録したなどチェックしています。
しかし、ほとんどの会社では、数字を上げないと飯が食えないということで、一発両手狙いの為に囲い込みをしているのが現実。
大手には良い情報が集まってくることもあり、囲い込んでいてもある程度の期間で捌くので一般の人は囲い込みされていてもわかりません。
ただ、今回あったのは、更新をすでに2回しており、登録から1か月経っていたのに、掲載されていない現状がございました。これは流石に大手にしては酷いなと思ったのでツイートさせてもらったのですが、これが業法違反なのという反応も多かったので今回記事にさせていただきました。
私としては、クリーンにやって高く売って売主さんに喜んでもらうというところを目指したいと思っているので囲い込みをすることはしませんが、囲い込みされる場合はそれ相応のリスクがあるということは認識しておくべきですよ。
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